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「勢いで飛び出してきたところまでは良かったんだけど」
想像以上に広い敷地に、顔から血の気がどんどんと引いていく。
もう何処から来たのかも分からないし、今自分が何処にいるのかすら分からない。
「俺って本当にばかだ」
今更思い出したけど、ここは俺が木下さんに連れられて、初めて足を踏み入れた場所だ。
そんな右も左も分からない俺が、この場所からどうやって帰るつもりだったんだろう。
それだけじゃなくて、俺はここの生徒じゃない。
こんな場所で不安げにうろついているのを先生に見られたら。警察に通報されるかもしれない。
「そんなの冗談じゃない……!」
自分の未来に影が差した気がして、慌てて頭を振った。
「どうしよう」
怒りを心の中に閉まって、家まで送ってもらってから怒ればよかった。
今更後悔しても、時すでに遅しだけど。
頭を抱えて一人で唸れば、後ろからトントンと肩を叩かれて心臓が止まったかと思った。
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