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「あの、本当にここであってるんですか」
さっきから、出口に向かっているというよりは、人気のない教室に向かっている気がする。
建物の入り口に近づくにつれ、人が増えていきそうな気がするのに、進めば進むほど人が減っていく。
「あってるよー?」
「……でも」
「いいから。黙ってついてきなって」
俺の手を強く握った垣内さんに、今更ながら鳥肌がたつ。
もしかして今の状況、結構やばいんじゃないだろうか。
「あ、あの」
「なに?」
「俺、やっぱ一人で出口探します」
「は?」
「お手数をおかけして、すみませんでした!」
「え、ちょ」
俺の手に、蜘蛛の巣のように絡みついていた垣内さんの手を振り払う。
次に会った時が怖いけど、今は自分の身をまもるほうが大事だ。
痛む膝を無視して、今出せるだけの力で走る。
全速力で走っているのに、後ろをついてくる足音は消えてくれなかった。
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