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「あの、それでその手は?」
「ん。だから金だせって」
「いや。俺、今日は何も持ってきてな」
「は?」
威圧を感じさせる声音に、びくりと肩が跳ねた。
「あれだけ手こずらせておいて、一円も?」
「は、はい」
とてつもなく怖いけど、今日の俺は本当に何も持ってきていないんだ。
行き帰りは木下さんが送ってくれるって約束だったし。
「……ムカツク」
「っい」
膝の傷に爪をたてられて、痛みで瞠目する。
「いたい! 本気でいたいって! お願いだから離」
「うるさい。だまれ」
垣内さんの大きな掌で口を塞がれて、更に強く傷口を抉られる。あまりの痛みに視界が涙で滲めば、垣内さんの口元が三日月のような弧を描いた。
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