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「……まじ? 夾がそんな風にムキになるところ、初めて見たんだけど」
「いいから。さっさと授業いけよ」
「……はいはーい。親友の大事な人なんだったら手は出しませんよーっと」
俺たちから距離をとった垣内さんが、ニコリと笑みを深めた。
「じゃあねー、東くん!」
まるで何事もなかったかのように、元気に手をふって去っていく垣内さんは、俺に噛みついた人とは全くの別人に見える。
「よかった。喰われてなくて」
「は?」
「あいつ、やっぱりゲイだったろ」
「や。あの人はゲイじゃなくて」
木下さんの中で相変わらず続いている誤解に、口端が引き攣った。
「絶対に俺の昌平も狙われるって思った。だから近づいてほしくなかったんだ」
「……確かに、狙われましたけど」
肉体面じゃなくて金銭面で、しっかりと狙われました。
そう言うのも何だか情けなくて、視線が不自然に泳いだ。
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