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「でもさ。マジで昌平が俺に落ちてくれるとは思わなかった」
「は?」
「初めて俺の家に昌平が来たときに、俺言ったじゃん。お前は、俺のことを好きにさせるから。絶対にって」
確かに。
木下さんの予言通りになったのかと思うと、ちょっと悔しい。
「正直あんな自信満々に言っておいて、実際はどうすればいいか分かんなかったんだよ」
「え。あんなにも自信満々だったのに?」
驚愕の目で木下さんを見れば、恨めし気に視線を返されて慌てて逸らす。
「BL漫画とかだったら、直ぐにどうにかなるんだろうけど。現実の厳しさについては俺だって良く分かってるつもりだよ」
「……確かに」
うんうんと頷けば、大きな掌に髪の毛を掻き混ぜられてドキリとした。
「だろ? だから、なんか現実じゃない感じがする」
「……俺は。今、俺の隣に木下さんがいる。それだけで、現実か夢かなんて……どうでもよくなってます、よ?」
何だか照れ臭くて、視線を逸らしながらも口にする。
今の俺にはこれが精一杯だけど、確かに何かは伝わったんだと思う。
木下さんも目元を赤く染めながら、はにかんでくれたから。
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