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ー友情ー37
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望は窓側で外を見ていた和也と「やっぱりか……」なんて会話をしていると望は何かに気付いたのか急に椅子から立ち上がると和也の事を退けてまで窓からその患者さんの事を見つめる。
その患者さんの姿を確認した望。 どうやら望の目は間違ってなかったようだ。
今の救急車で運ばれて来た人物とは望が想っていた人のようで望は後先考えずに診察室を後にする。
「おいっ! ちょっと!! 望! まだ、午前中の診察終わって……な……い……あ、行っちゃったよ……。 え? でも、何があったっていうんだ?」
とりあえず行ってしまった望にため息は出るものの、和也は何で望が出て行ってしまったのかを確認しに窓の外を覗く。
「なるほどな……望が診察室を出て行ったのはそういう事だったのか……。 あの、桜井雄介がまた運ばれて来たって訳ね……。 あれ以来、何もなかったのに今回はどうしたんだかな……?」
和也はそうため息を吐きながら今は診察室を出て行ってしまった望の椅子へと腕を組んで座るのだ。
一方、望の方は診察室を出て救急患者の入口へと向かっていた。
今の望は手術の終わりを待つ家族のようにも思えてるのかもしれない。
「あの、角を曲がればっ!」
そう言った瞬間に望の目の前を雄介を乗せたストレッチャーが通り過ぎて行く。
それを見た望はそのストレッチャーを追いかけ始めるのだ。
「おい! 雄介! 雄介!」
もう無意識のうちに望は雄介の名前を勝手に呼んでしまっていた。
その望の声に雄介は気付いたのか雄介は血が未だに付いている手を震わせながら望の方へと伸ばし、
「あ……ぅ……スマンな……また、ここに……っ……来てもうて……」
雄介は痛みで顔を歪ませながら望に向かって何故か謝っている。
「雄介っ! 今度は何が……っ!」
そう雄介に何があったかを聞きたかったのだが、雄介はそのまま処置室の方へと運ばれて行ってしまうのだ。
望は今まで全力疾走して来たからなのか息を切らしながら雄介が処置室の方に入って行く姿を今は見守る事しかない出来なかった。
そう今の望は救急の方ではなく外来の方だからだ。
望は仕方なく外来診察室の方へと足を向ける。
そして和也は戻って来た望に、
「……で、桜井さんの様子はどうだったんだ?」
和也の方もあまりにも望が最近、桜井さんの事を言うのだから和也の方も一応は心配していたのであろう。
「今はまだ処置室の方に入ったばっかりだ……」
望は未だに呼吸を乱しながらいつもの診察椅子の方へと座り天井へと視線を向ける。
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