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味噌
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***
「……平和だな」
窓から庭を眺めて、カメラ片手にノアの姿を写真に収める。使用人解雇後からノアはのびのびと外で遊べるようになった。
「ジュード様、例のアレが届きました。」
「なに!?本当か!!」
セバスチャンの言葉に俺は大喜びでノアを呼び厨房へと急ぐ。
厨房には料理長がアレを用意して待っていた。
「お待ちしておりました。」
「ご苦労。これの使い方は私が教えるが、私は素人なのでな…」
これを目の前にすると日本人でいたあの頃を思い出す。あの優しい味がとても落ち着くのだ。
俺の笑みを見て料理長やセバスチャンも引き気味である。
「おにいたん これは?」
「これは味噌だ」
「みしょ?」
「美味しいものだ。今から作るのは味噌を使ったスープと味噌味の焼肉の野菜巻きだ。」
材料を用意すると料理に取り掛かる。使用人から凄い視線を感じるが、無視することにしよう。
味噌汁は野菜多めのに、出汁が無いので干からびたキノコでなんとかする。味噌味の焼肉の野菜巻きは肉の下処理をして味噌と香辛料につけておく。
やはり米が欲しい…
「米さえあれば…」
「コメ?というのはどのようなものでしょうか?」
「麦のように生えていて、中身は白く硬い。それを炊くと柔らかくなり甘くて美味しい。」
「私は長く生きておりますがそのようなものは見たこともありません」
「米は俺自身が探しに行かねば見つからないかもしれないな」
「…ジュード様がですか?」
「(ん?)…そうだが?」
セバスチャンと話しているうちに、焼肉があと焼くだけになった。肉を焼くと甘辛い香りが食欲をそそる。
「おいちちょう」
「美味いぞ」
出来たての肉を野菜に巻きノアの口へ運ぶ。ノアは口を大きく開けて頬張る。ぷくぷくな頬っぺがかわゆすぎて食べたくなる。
「おいちい!」
俺はノアが食べやすいように肉に野菜を巻き、皿に置いていく。背後からの視線が気になり後ろを向くとハイエナような使用人達がこちらを見ていた。
「お前達も食べていいぞ。(味見)、、、毒味だ。」
匂いに誘われて集まった使用人達は恐る恐る口へと運ぶ。
「うっうま!?これが、こんなに美味いのか!!」
「野菜と一緒に食べるためカロリーも低くなる。女性には嬉しいものかもな。」
「ジュード様!これを是非とも食事のメニューに入れて欲しいです!」
「あぁ、俺は良いぞ。料理長が良ければメニューに入れて欲しい。味噌の使い方は人それぞれだ。好きにアレンジして欲しい。」
「かしこまりました。」
「ノア、味噌汁もあるぞ。」
「みしょちる」
もぐもぐと味噌汁を食べるノアを横に、俺も口へと運んだ。
この味だ。懐かしい味。
母さんの味噌汁にはトマトが入ってたっけ…あれは苦手だった…
辛くもないのに鼻の奥がツンとする。
「…美味しい。(だが、出汁が足りないな。)」
食への問題はまだまだありそうだ。
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