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お披露目2
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────────…
「にゅっにゅ〜」
三輪車に跨りノアは鼻歌を歌う。子供らしい高い声に微笑ましく、使用人達の顔はデロデロに緩んでいた。
「にたん!あっちにいくの!」
「あぁ」
3歳ではペダルを踏むことは難しいので、補助として俺が押して進めている。
フワフワとしたクリーム色の髪が頬を撫で、甘い香りが脳を痺れさせた。
桃色の花をバックに、天使の笑顔が眩しい。
可愛いノアの頬に今すぐ口付けをしたい。なんてことは脳内処理で済ませている。
実際に実行すればただの変態だからな。
こういうのは、人がいない所でするものだ。
「いつかは三輪車が乗れるようになるといいな」
「あい!にたん、みててくだしゃいね!」
「あぁ(しっかり記録(盗撮)しておこう)」
「あらあら、ノアちゃん面白そうなのに乗ってるわね」
「おにいたんから ぷれじぇんと ちてもらった しゃんりんしゃでしゅっ!」
「シャンリンシャ?」
「三輪車です」
「サンリンシャね!ジュードが押して動くみたいだけど…」
「これは、ペダル…ノアの足を置いてある所を前に踏むと、この三輪車が前に進む仕組みになっています」
「すっ…凄いわね…。大人用は?」
「大人は、自転車を開発しました。」
「ジテンシャ?とは?」
「2輪の乗り物です。セバスチャン!自転車を!」
「かしこまりました。」
会話には出てこないので誰も気づかないだろうが、父親も一応この場にいる。茂みに隠れては母親の事を見つめている。さっさと出てくればいいのに。
「母上、父上は…?」
「あら、どこへ行ってしまったのかしら?」
「………ここにいる」
にゅっと出てきた父親は母親の腕を取ると、何事も無かったかのように隣に立った。
「ジュード様ー!」
セバスチャンは自転車を押して持ってくると、俺に渡した。
「ご苦労」
ノアをセバスチャンに任せると、俺は自転車に乗る。周囲の安全確認を済ませ、ゆっくりとペダルを踏む。
「…おお」
「あれ、私も乗れるかしら?」
「あれは練習しないと難しいですぞ」
くるっと一周すると、 ノアがてくてくと俺の所へ走ってくる。ノアは自転車に乗りたいらしく、じっと俺を見る。こんなことが起こることも想定内だ。
「……セバスチャン、あれを」
「かしこまりました」
セバスチャンが自転車にノアが乗れるカゴを設置する。ノアを抱き上げカゴに座らせると、俺はもう一度、庭を一周する。
「わぁ!しゅごい!!!!」
この"しゅごい"を待っていた。嬉しそうにするノアを見て満足すると、両親の所へと戻る。
「ジュード、自転車について詳しく解説を」
「はい。操作は簡単です。このペダルを漕げば進みます。曲がる時はハンドルを曲げ、停止する場合はブレーキをかけます。
自転車のメリットは馬のように世話をしなくていい事と操作がしやすい事ですね。デメリットとしては漕ぐことが面倒なのと、坂が特にキツイです。下り坂は楽ですが…」
「そうか…」
「父上ならすぐに乗れると思います。
母上だと疲れると思うので、電動自転車…漕がなくても良い自転車の開発を現在しています。」
「わぁ、ありがとう。」
「ぼくはのれる?」
「ノアは三輪車を乗れるようになってからだ。
自転車はぶつかると危険なので、自転車専用のコースを作ると良いと思います。広い屋敷でもこれを使えば楽に行き来できます。」
「そうね。それは良いかもしれないわね。」
無駄に広いんだよなここ。大学のキャンパスレベル。
馬から落馬すれば死ぬが、自転車なら落ちたくらいで死にはしない。高さが無いから安心して乗れるだろう。
ノアが自転車に乗りたいアピールが凄かったので、タンデム自転車を開発してもいいが…
絵的に天使には三輪車がピッタリ合う。
俺は一生懸命三輪車を漕ぐノアの姿が見たい。と、欲が出ているので、タンデム自転車の開発は遅らせよう。
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