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親戚
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***
父親がいつもより動かない。原因は目の前にいる親戚達だ。主に母方だが…
これまで嘘の噂で母親が実家に逃げていたことは数ヶ月前の話だ。
今は解決したがそれについては父親は祖父母に説明していない。
両親の目の前に母方の祖父母が、父方の祖父母は横に真っ青で固まっている。野次馬か知らないが、母方の従伯父(母の従兄)そして叔父(母の兄)がいる。
「……セリーヌを幸せにできないなら、別れてもらいたい」
祖父であるラドノスが人を殺すような目で父親を見る。これは相当怒っているな。
無言のままいる父親に痺れを切らしたのか、向かいに座っているラドノスはソファから立ち上がると、グラスに入っていた水を父親に向けてかけた。
「………申し訳ありません」
無言な父親が頭を下げる。あと一言、母親であるセリーヌとは別れたくありません。と言えればいいが。
「ちょっと、あなた…少しは冷静になって。セリーヌ、あなたからも説明してちょうだい。数ヶ月も家に来ないから心配したのよ?」
「……実は、ずっと彼が浮気だと思っていたのですが、勘違いでして……。色々あって仲直りいたしました。」
「は?君は外で他の女と遊んでたのでは?
証拠ならそこにいる子供がいるだろう?」
ラドノスはノアを見る。気に入らないのだろう、ちょっと顔が怖い。この重い空気が分かるのか、天使は申し訳なさそうな顔で俺の後ろに隠れた。
「ノアくんは、亡くなった恩人の子供です。私とは血は繋がっていません。
これまで私は家族と過ごす時間をつくりませんでした。仕事をしていれば、セリーヌとセリーヌに似た子供を見なくて済むのですから。」
「…なに?お前はジュードの面倒も見ていなかったのかっ!」
「申し訳ありません。私は、自分可愛さに、愛する妻からも愛する子からも逃げました。」
父親が馬鹿正直に話すので、母親が補足しながら話す。
「お父様…彼だけが悪い訳では無いの。私も母親としてジュードを育てなかったの…彼に似てから。今は、ジュードのおかげで、誤解も解けたけど…」
「息子の不始末…申し訳ありません。
息子はこんな顔ですが、心の優しい子なんです。
セリーヌちゃんに惚れた息子が、まさかこんなにヘタレだとは…」
「…違います母上、一目惚れです。」
「・・・本当に申し訳ありません。息子がこうなったのは私の責任です。」
ラドノスの機嫌は良くならない。それどころか悪くなっていく。
「ひくっふぇっ…ごめんなしゃいっぼくのしぇい?」
重い空気を壊したのは天使である。うるうるした瞳に、祖父母達は胸を押さえた。
「ノアのせいではない。ノアが来てから、屋敷内は明るくなった。」
俺はノアを抱っこしながら、ノアは良い子アピールをする。
「すまない、つい頭に血がのぼってノアくんに酷いことを…
じいじを許してくれるかい?」
ラドノスはポケットから飴を出した。可愛らしい包み紙に包まれた飴を貰うと、天使は「ありがとうごじゃいましゅ」とふにゃりと笑う。
うぐっ…かわいい。
天使スマイルにラドノスは落ちた。
「ふむ…ノアくんのことは認めよう。だが、君のことは認めない。」
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