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プロローグ5
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(モファロンの足で砂を泳ぐ砂蟲《サンドワーム》に勝てるかどうか判らないけど、他に方法がない……!)
そう思い、トカゲに声を掛けようとした少年は、ふと気づく。
(砂蟲が、襲ってこない……?)
彼らは獲物を見つけたら即襲いかかるという話だった筈だ。だというのに、未だにその場から動こうとしていない。
(もしかして、ティアくん……?)
モファロンの上からじっと砂蟲を見ているトカゲは、見ようによっては相手を睨んでいるようにも思える。ということは、ティアが砂蟲を威嚇しているからこその膠着状態なのではないだろうか。
だが、それも長くは続かなかった。どこか苛立ったように耳障りな叫び声を上げた砂蟲が、モファロンに襲いかかったのだ。巨体に似合わず機敏な動きでこちらに向かって来た魔獣に、少年が息を呑む。それとほとんど同時に、トカゲがぐっと背を反らした。
そして次の瞬間、小さな口をぱかりと開けたティアは、およそその体躯からは想像がつかない大きさと勢いを誇る業火を吐き出した。
「!?」
トカゲの口から吐き出された巨大な火球が、今まさにモファロンを喰らおうとしていた砂蟲に襲い掛かる。そしてその炎の塊が触れた途端、じゅうううという肉が焼ける音と共に、砂蟲が凄まじい悲鳴を上げてのたうった。だが、その状態もそう長くは続かない。
砂蟲の鎧のような肌をも焼く炎は、見る見るうちにその身体を蝕み、そしてついには、全てを灰燼となしてしまったのだ。
文字通り跡形もなく燃え尽きてしまったそれを見た少年は、ぽかんと口を開けて呆然とするしかなかった。炎獄蜥蜴《バルグジート》がすごい生き物だという話は聞いていたが、まさかここまですごいとは思っていなかったのだ。
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