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円卓会議5
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「はい。グランデル王国への襲撃も我が国への襲撃も、極少人数によるものでした。帝国が本気でどちらかの国に大きな打撃を与えるつもりだったのならば、あそこで更に兵力を投入してきたはずです」
きっぱりとそう言った金の王に続き、赤の王も口を開く。
「無論、そうなれば我々も相応の対応を取る。それを見越して敢えて少数精鋭をぶつけたという可能性もなくはないが……」
「少数精鋭と呼ぶにはあまりにお粗末な敵だったから、そうは考えにくい、だろ?」
そう口を挟んでウィンクをしてみせたのは、黄の王だった。
「ああ、その通りだ」
「グランデル王国の方に行ったのはヤバめの人外だったみたいだけど、ギルディスティアフォンガルド王国の方は、言ってしまえば王であれば余裕で対処できる程度の敵だろうからなぁ。グランデル王を遠ざけてまでやったのがあれって言われると、なんかちょっと考えなさすぎじゃないのって感じかね」
そう言った黄の王に、これまで静かに話を聞いていた白の王が頷いた。
「確かに、これまでの帝国像とは少し違うように思えてしまいますね。何もかもが中途半端で、まるで浮雲のよう。……今回の事件も、表面をなぞっただけでは判らない真意があると考える方が自然なのではないでしょうか」
思案するようにそう言った彼女に対し、金の王が頷いた。
「そうなのです。ですから、帝国を迎え撃つため、より一層の警戒と準備が必要なのではないかと」
だが、その言葉に赤の王が首を横に振る。そして彼は、依然黙したままの銀の王を見た。
「最早迎撃でどうこうなる話ではないと私は思う。我々に課された使命は、神の塔と自国を守り抜くこと。故に、他への侵略は円卓の本意ではない。そのことは重々承知しているが、我々が王である以上、迎え撃つという選択は常にリスクを伴ってしまう」
赤の王の言葉の意味を悟った王たちが、一様に銀の王を見る。
それは、歴史書をたどる限り、前代未聞の事態だ。円卓の国々は、常にリアンジュナイル大陸の守護のために存在しており、それ以上にもそれ以下にもなってはいけない。
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