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円卓会議6
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老齢の王が、ひとつ息を吐き出す。そして彼は、忌々しげに赤の王を見た。
「時間が必要だ。……過去視のな」
そのひとことに、王たちが小さくどよめいた。
過去視。過去渡りとも称されるそれは、銀の国の王だけが持つ特殊な力で、文字通りあらゆるものの過去を見ることができる能力だ。更に、金の王が持つ未来視の能力と違い、これは銀の王の意思で自在に発動できる。
ただし、その分魔力の消耗は著しく、使い方を間違えれば衰弱死しかねない危険な能力でもある。その上、過去を視る対象や遡る範囲によって消耗する魔力量が大きく変わるので、安定した過去視を行うためにはそれ相応の準備が必要なのだ。
そんなリスクの高い能力の使用を銀の王が決めたということは、赤の王の提案が飲まれたということである。
すなわち、
「グランデル王の言う通り、最早帝国をこれまでの帝国と捉えるわけにはいかぬ。今を以て第一級緊急事態とし、ロイツェンシュテッド帝国へ戦争を仕掛けることを提案する」
朗々と響いたその声に、反論が上がることはなかった。この場にいる誰もが帝国を脅威として認め、排除すべき敵であると定めたのだ。
「異論はないようだな。では、もうひとつ提案させて貰おう」
そう切り出した銀の王が、金の王へ視線を投げた。
「エインストラは、ネオネグニオ王国に管理させるべきだ」
その言葉に、金の王が険しい表情をした。誰が見ても、銀の王の提案に異を唱えたいという表情である。しかし、銀の王はそれに構わず言葉を続ける。
「ネオネグニオ王の庇護の元、限りなく強固な結界で外界との接触を断つ。これ以上の良策はあるまい」
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