アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
円卓会議8
-
「十二国にとって最良である可能性が最も高い選択が何か、お判りですか?」
質問の意図が判らず困惑の表情を浮かべた金の王に対し、青の王が溜息を吐く。
「エインストラを殺し、跡形もなく死体を処理してしまうことですよ」
「なっ!?」
「帝国が求めているのは、エインストラの能力なのでしょう? ならば、帝国に奪われる前に殺してしまえば良いのです。それだけでは不安だと言うのなら、死体はそこのグランデル王にでも焼き尽くして頂きましょう。そうすれば、エインストラが帝国の手に渡ることは有りません。それだけの話ですよ」
あまりの言い草に絶句する金の王に、しかし他の王は何も言わない。それは、青の王の言葉が正しいことをありありと示していた。そして、ここまでくれば金の王も悟ることができた。
到底納得できることではない。だが、それでも、青の王が言っていることは間違いなく最良に近い選択なのだ。
「……でしたら、どうして、エルキディタータリエンデ王は、」
何故、最良を選ばなかったというのか。
言葉にならなかったその疑問に、しかし銀の王は何も答えなかった。
とうとう俯いてしまった金の王の肩に、赤の王の手が触れた。大きな掌から伝わる温度に顔を上げた幼王の目を、赤の王が真っ直ぐに見つめる。
「我々は、ひとりの人間である前に王なのだ。故に、個人の感情で動くことは許されない。国のために守るべきを守り、討つべきを討つことしかできないのだ。たとえその対象が私の最愛であったとしても、それが国のためになるというのならば、私は迷わずこの剣を突き立てるだろう。……王とは、そういう生き物だ」
いっそ起伏すら感じさせないような声で、赤の王はそう言った。そして、他の王たちはただ黙している。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
14 / 197