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円卓会議9
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しんと静まり返った空気の中、じっと赤の王を見つめていた金の王の瞳が何度か揺らぎ、小さな唇が引き結ばれる。だが、それだけだった。
幼い王は、それでも王の挟持を以てすべてを受け止め、理解し、静かに立ち上がった。そして、銀の王に向かい、深々と頭を下げる。
「思慮に欠ける発言をしてしまったこと、深くお詫び申し上げます」
王としての覚悟と力が不足している自分を恥じた、心からの謝罪だった。
天ヶ谷鏡哉にとって、これから起こることは耐え難いことかもしれない。けれど、金の王はその選択をしなければならないと知ったのだ。以前の円卓会議で銀の王が言っていたことが、今になって身に沁みる。
千のために百を捨てる。その選択ができなければ、王など到底務まらないのだ。
拳を強く握って頭を下げる幼い王に、銀の王が小さく息を吐く。
「もう良い。王がそう軽々しく頭を下げるものではない」
言われ、金の王が顔を上げる。銀の王を正面から見つめた彼は、もう一度だけ頭を下げてから着席した。それを見届けてから、銀の王が王たちを見回す。
「それでは、反対意見はないと捉えて良いな?」
銀の王の言葉に、王たちが頷く。
そのときだった。
「あれ? もう始まってたの? 皆早いね」
この場には不釣り合いな、酷く間の抜けた声が響いて、王たちが一斉にそちらへと目を向ける。その先には、黒の国の門からひょっこり顔を出した黒の王がいた。
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