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円卓会議11
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銀の王もそう考えたのか、わざとらしい溜息を大きく吐き出した彼は、それでも黒の王に対して説明を始めた。できるだけ簡潔に事の次第を伝えれば、堂々と遅刻してきた王は再び首を傾げた。そして、何故か呆れたような表情を浮かべる。
「よく判んないけど、すごく無駄な時間使ったんだね。頑張って話し合ったのかもしれないけど、それ無意味だよ」
きっぱりとそう断じた黒の王に、銀の王が渋面を浮かべる。
「……どういうことか、説明して貰おうか」
「うーん。……ねえ、赤の王。あんた、紫の王の一番強い結界壊せる?」
突然の問いに、赤の王は僅かに思案したあと、頷いた。
「極限魔法を使えば、恐らく可能だ。……神性魔法ならば、確実に」
「うん。じゃあやっぱり無理。紫の王の結界魔法は通用しないよ。だからエインストラを閉じ込める意味はないね」
ひとりで納得して頷いている黒の王に、萌木の王が穏やかな口調で語り掛ける。
「君は納得したのかもしれないけど、僕はちょっとよく判らないな。もう少し丁寧に説明できるかい?」
口調こそ柔らかだが、明らかに相手を馬鹿にしていうような色が多分に含まれた声だ。だが、鈍いのか気にしていないのか、黒の王に堪えた様子はなかった。
「この前軽く伝達飛ばしたでしょ。敵が強すぎるんだって。正直言って、俺たちの手に負える相手じゃないんだよ。“あれ”は、俺たちができる程度のことはなんだってできるし、俺たちにできないことも、……うん、なんだってできそう」
そう言った黒の王に、赤の王が小さく首を傾げた。
「ひと月ほど前に直接話したときは、そこまでの内容ではなかったと記憶しているのだが」
「ウロとかいう意味判らないのが相当やばかったから逃げてきたって言ったじゃん」
どうやら、その短い発言の中に色々な意味が含まれていたらしい。ウロという存在に対して黒の王が抱いた恐怖心はなんとなく察していた赤の王だったが、思っていた以上にその敵に対する黒の王の評価は高いようだ。
これは黒の王から詳しい話を聞き出さなければならないと思ったのか、白の王が黒の王を見た。
「順を追ってお話していきましょう、ヴェールゴール王。まず、帝国に潜入した貴方はどうしようとしたのですか?」
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