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円卓会議19
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そんな配慮が有難くもあり、情けなくもある。王として未熟故に、こうして周囲に迷惑を掛けてしまっている自分が、どうしようもなく許しがたかった。そう思って強く唇を噛んだ金の王が、強く目を閉じたそのとき。
金の王の脳裏に、突然鮮明な映像が浮かび上がる。同時に脳を強く揺すられるような強い衝撃を感じ、彼は両手で頭を抱えて蹲った。酷く遠くで、王たちの自分を心配するような声が聞こえる。だが、そんなものよりもずっと鮮明に、脳に直接叩き込まれる映像がぐるぐると動いていく。
自分はこの場所を知っている。何度か訪れたこともある。そうだ、ここは、グランデル王国だ。赤の王が治める地に、赤の王が立っている。その向かいにもなにかがいて、そのなにかの手が伸びて、そして――
瞬間、金の王は悲鳴を上げて椅子から転げ落ちた。隣にいた赤の王がすぐさま抱き起こしたが、小さな体はかたかたと震え、赤い瞳は恐怖に染まっている。
「ギルヴィス王!」
赤の王の呼びかけに、幼い王はゆっくりと顔をそちらへ向けた。そして、小さな手を伸ばし、赤の王の服を強く握る。
「ロ、ステアール、王、」
引き攣った喉が、それでも声を絞り出した。
「どうか、逃げてください。どこか、僕たちすら判らないような遠くへ、どうか、」
尋常ではない事態に、その場にいた王たちは悟った。
未来視である。今この瞬間、金の王は未来を視たのだ。
赤の王を見上げ、今にも泣きそうな顔をした王が、いっそ悲鳴を上げるかのように声を吐き出す。
「グランデル王国にいたら、貴方は死んでしまう……!」
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