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砂漠の色男10
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「俺も一緒にお願いします! クラリオ王陛下!」
「あ、じゃあ俺はお酌させてください! クラリオ様!」
「クラリオ王陛下と同じ皿をつつけるなんて、感激です!」
わーわーと騒ぎ出した男たちに、黄の王がげんなりした顔をする。
「いや、男と一緒に飯食う趣味はないし、男の酌もいらねぇし、最後の奴に至っては言葉選びが気持ち悪ぃから、男は全員隅っこで食ってろ」
「辛辣なことを言いながらも、全部話を聞いてくれてるクラリオ王陛下! 最高です!」
「気持ち悪いって言うのに、一緒に食事をすること自体は断ったりしないんですよね! 陛下ってばお優しい!」
少年には全く理解できないが、女性だけでなく男性までもが盛り上がっている。なんというか、赤の王が民にとっての崇拝対象ならば、黄の王は人気役者みたいな感じなのかな、と少年は思った。
何はともあれ、これは好機である。黄の王に声を掛けられたことで一時的に注目を浴びてしまった少年だったが、今はもう誰も彼に興味を示していない。皆、クラリオとザナブルムの肉や殻に夢中な様子だ。
(……もしかして、僕がこの場から離れやすいようにしてくれたのかな……?)
だとしたら、大変有難いことだ。内心で黄の王にお礼を言いつつ、少年はそそくさとその場を立ち去ろうとした。だがそんなとき、群衆の誰かが叫んだ。
「おい! 空を見ろ! 王獣様だ!」
「おお! リァン様!」
王獣と聞き、少年の脚が思わず止まる。赤の国の王獣であるグレンが美しい獣だったので、気になってしまったのだ。
興味のままに振り返った先、空を翔けるその獣を目にし、少年は思わずほぅと息を吐いた。
雷を纏った、大きな四つ脚の獣。黄の王の髪色に似た、色の濃い金毛のその獣は、赤の国の宰相の騎獣によく似ていたが、それよりもふた回りほど大きく、遥かに美しい。荘厳な雰囲気を漂わせる獣は、まさに王獣の名に相応しい風格をしていた。
偉大なる王獣を前に、しかしその対である国王は悪戯が見つかった子供のような表情を浮かべた。
「げっ、リァン!?」
なんでいるんだ、と言いたげな国王を一瞥した獣が、真っ直ぐに降下してくる。王の周囲にいた人々が王獣のためにと場所を空ける中、王獣は王目掛けて宙を駆け降り、そして、
「ぶへっ!」
太い前脚で王の顔面を踏んづけた。
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