アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
リィンスタット王城2
-
「あの、先日は色々と、ありがとうございました。もうご存知かと思いますが、天ヶ谷鏡哉と申します。ギルディスティアフォンガルド王陛下のご提案で、暫くリィンスタット王国でお世話になることになりました。ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます」
出来得る限り丁寧にそう言った少年だったが、そんな彼に対して黄の王はひらひらと片手を振った。
「あー、そういう堅苦しいのはいらねぇって。そもそもそんなにお世話するつもりもねーしな」
そう言ってから黄の王は、まあ座れと言って自分の隣のクッションをぽんぽんと叩いた。高貴な人間の隣に座るだなんてと思った少年ではあったが、まさか王自らの申し出を断る訳にもいかない。仕方なく、示されたクッションよりも少し離れた床に直接正座した少年に、王は少しだけ首を傾げたあと、まあ良いかと呟いた。
「金の国とか赤の国とかに慣れてると、うちの家屋は珍しいだろー」
「あ、いえ、道中の宿などで、一応見慣れはしました」
リィンスタット王国では、椅子や机などを使用することが少ないらしく、少年が泊まった宿も基本的には絨毯に直接座るような部屋ばかりだった。どうやらその文化は、王宮でも例外ではないらしい。
「ソファとか机とかがある謁見室もあるにはあるんだけどなぁ。俺があんま慣れないからこっちにさせて貰ったわ。居心地悪かったら部屋移すけど?」
「あ、いえ、お気遣いなく」
「そうか? じゃあこのまま本題に入るか。つっても、おおまかな事情についてはギルヴィス王から聞いてるだろうから、俺が話すのはこの国での話な」
そう言った黄の王が、右手の指を三本立てて見せた。
「俺がお前にしてやることは、大きく三つ。衣食住の確保に、ちょっとした話し相手になること、あとは制限付きの護衛か。ま、そんくらいだな」
衣食住は有難いことだが、話し相手は別に特に望んではいない。そんなことを思った少年だったが、勿論口にはしなかった。代わりに、ひとつ疑問に思ったことについて尋ねてみる。
「……あの、制限付きというのは……?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 197