アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
リィンスタット王城5
-
「……そんな、あの人が、僕を選ぶなんて、」
「え、ちょ、おい? 大丈夫か?」
突然の少年の変化に黄の王が僅かに狼狽える中、顔を俯けた少年がふるふると首を横に振る。
「あ、あの人は、だって、約束してくれたから……。ずっと、きれいなままだって……。だから、王様であるあの人が、僕なんかのせいで変わるなんて……、そんな……、……そんなこと……」
細く絞り出された震える声は、まるで悲痛な叫びのようにすら聞こえ、黄の王は何度か視線を彷徨わせた後、ああもう、と大きな声を出した。
「止めだ止め! こういう尋問めいたのは向いてねーんだよ俺!」
そう言った黄の王は、胡坐をかいた両ひざに手を置き、何の躊躇いもなく少年に向かって頭を下げた。それを見た少年が、先程までとは別の意味で真っ青になる。
「あ、あ、あの、あの、」
「試すような真似して悪かった」
そう謝罪した黄の王に、少年が慌てて首を横に振る。
「い、いえ、あの、あ、謝らないでください……!」
一国の王に頭を下げられるなんて、小心者の少年には耐えられない状況だ。そんな少年の心の内を察したのか、黄の王はすぐに頭を上げ、少しばつが悪そうな顔をした。
「いや、本当に悪かった。ただ、円卓の王の一人として、お前の認識を確認する必要があってな」
「認識……?」
「簡単に言や、お前が国王の恋人であることの意味を、きちんと理解してるのかどうか、かね。……国王の恋人やら王妃やらってのは、割と特殊なもんだからさ。そういうの、きちんと覚悟してないと色々とキツいんだよ」
「ええと……」
そもそも恋人ですらない少年には、それがどういう風に特殊なのかなど判るはずがなかった。ただ、黄の王の醸し出す雰囲気から、少年が想像できるような特殊性とはまた違ったものなのだろうということだけは察しがついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
41 / 197