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リィンスタット王城6
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「ま、お前の場合は問題なさそうだから良いや。なんつーか、破れ鍋に綴じ蓋って感じだなぁ、お前ら」
取りあえず他の王連中には大丈夫だって伝えておくわ、と言った黄の王に、少年は理解できないままに頷いた。よく判らないが、先程のあれは、黄の王個人によるものというよりは、円卓の国王全体からの問いだったのだろう。だとすると、自分の回答はあれで良かったのだろうか。
(……でも、だって、あの人が約束してくれたから……)
未だに青褪めたまま赤の王との約束を反芻する少年に、黄の王が苦笑して彼を見た。
「心配すんな。お前の言う通り、ロステアール王がお前のせいで王として誤ることはねぇよ。ありゃこっちが羨ましくなるくらい、何事にも惑わされないでいられるタイプだからな。それに、あの王様が変わらないって約束したんだったら、そういうことなんだろ」
そう言われ、少年の顔にようやく血の色が戻っていく。
別に、王であり続けることが彼の美しさだと思っている訳ではない。王であろうとなかろうと、きっと彼はこの世で一番美しい存在であり続けるだろう。ただ、あの美しい王の歩む道が、自分のせいで僅かでも歪んでしまうのが怖いだけだ。だから、その可能性を提示されたと思って狼狽えてしまった。
けれどもう大丈夫だ。少年はあの約束を信じると決めたのだし、黄の王が提示したのは可能性ではないということが判った。
ほっと安堵した様子を窺わせた少年に、黄の王はやれやれといった顔で彼を見て、小さく呟く。
「なんつーか、まあ、王っていう生き物からしたら、恋人として最適な存在だな、お前」
「え……?」
「あーいや、なんでもねーよ。それより、えーっと、どこまで話したっけか? 滞在中の話とか全然してねぇよな?」
そう言った黄の王が、部屋の扉を見た。
「おーい、そろそろ入ってきて良いぞー」
その声を合図に扉が開く。そして一人の男が中に入ってきた。そこそこの体格をした、三十代半ばほどの男だ。短く切りそろえられた暗い金髪に、やや色の濃い肌は、いかにもこの国の人間らしい容貌だと少年は思った。ただ、どうにも近寄りがたい雰囲気を感じる男だ。射るような鋭い目がそう思わせるのかもしれない。
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