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リィンスタット王城9
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「あ、あの、……申し訳ありません……口ごたえ、してしまって……」
「あーそういうのは良いって。こっちこそ色々押し付けちまって悪いな」
「いえ、あの、」
迷うように何度か視線を彷徨わせた少年が、アグルムに向かって頭を下げる。
「……よろしく、お願いします」
本当は、命懸けの護衛をつけて貰うなんて、畏れ多くて辞退したい気持ちでいっぱいだ。けれど、少年には王命を覆すことなどできない。故に、彼は諦めて王の提案を呑むしかなかった。
「……いや、こちらこそ、よろしく頼む」
何がよろしく頼むなんだ、と思ったアグルムだったが、身を小さくしている可哀想な少年に掛ける言葉が他に見つからなかったのだ。
そんな微妙な空気が広がる中、黄の王がさてこの状況をどうしたものかと考え出したところで、扉をノックする音が部屋に響いた。そして、王がそれに対して返事をする前に、勢いよく扉が開く。
「クラリオ様ー! 全然お呼び出しが掛からないから来ちゃいましたわー!」
「エインストラを紹介してくれるって言ったくせに遅いのが悪い!」
「ごめんなさい、クラリオ様。私は大人しく待ちましょうって言ったんですけど、皆さんがどうしてもと言って聞かなくて」
わいわいと思い思いのことを喋りながら入ってきたのは、煌びやかな衣装に身を包んだ女性たちだった。ざっと二十人は超えているだろうか。結構な集団である。
あまりにも不躾な入室に、しかし黄の王はぱっと顔を明るくして大きく手を振った。
「もう奥さんたちこのタイミングで入って来るとか最高ー! なになに? なんか微妙な空気になったなこれどうしようって困っちゃったクラリオくんのことを察してくれたの? すごくない? 俺愛されてるなぁ!」
なんだか一人で盛り上がっている王を、アグルムが呆れた顔で見る。一方の少年は、王が口にした言葉に驚きを隠せずにいた。
(お、奥さん……たち……?)
一体どれが奥さんでどれが奥さんではないのだろうか。入室した女性たちは皆似たような服装をしているから、恐らく侍女の類ではないだろう。ならば、奥方と王家の血縁者がこぞってやってきた、ということだろうか。
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