アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
リィンスタット王城10
-
(お、奥さん……たち……?)
一体どれが奥さんでどれが奥さんではないのだろうか。入室した女性たちは皆似たような服装をしているから、恐らく侍女の類ではないだろう。ならば、奥方と王家の血縁者がこぞってやってきた、ということだろうか。
(いや、でも、なんで女性ばっかり……)
正直少年は、母を思い出すから大人の女性はあまり得意ではないのだ。それがこんなに沢山となると、少々身構えてしまう。だが、そんな彼にはお構いなしに、女性たちは少年の方へとやってきた。取り囲まれることこそないが、それに近い状態に陥りかけて、少年は内心で悲鳴を上げた。
「やだー、かわいいー」
「坊や、いくつ? 十五歳くらいかしら?」
「顔色良くないぞ? 体調悪いのか?」
「まあ、本当だわ。医師を呼びましょうか?」
心配そうにこちらを見る女性陣に、少年は大丈夫だと言って、懸命にいつもの微笑みを浮かべて返した。そんな集団と少年の間に、何も言わないままアグルムが割って入る。
「ちょっと、邪魔をしないでちょうだい」
「不躾だぞ、お前」
少年を隠すように立ちはだかったアグルムに、女性陣からブーイングが飛ぶ。だが、アグルムに動じた様子はない。ちらりと王を見た彼は、特に表情を変化させることなく女性たちに視線を戻した。
「国王陛下から、こいつを守れと命じられているので」
途端、女性陣から更なるブーイングが飛んでくる。まるで私たちが悪者扱いじゃないかだの、あんたの方が悪役顔だだの、割と酷いことを言われているが、やはりアグルムに堪えた様子はない。
少年はなんとなくだが、もしかするとこの国ではこういうのが日常茶飯事なのかもしれないな、と思った。そして実際のところ、少年のその考えは正しかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 197