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リィンスタット王城11
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「はーいはい、奥さんたちそこまでー。取り敢えず一旦俺の傍に来ようね」
ぱんぱんと手を叩いた王にそう言われ、女性たちが渋々といった様子で王の元へ向かう。それを見たアグルムも少年の前に立つのをやめたが、彼の場合は傍を離れる気はないようで、少年の斜め後ろに移動しただけだった。それはそれで落ち着かないのだが、大勢に囲まれていた先程よりは遥かにマシである。
少しだけ気持ちが落ち着いた少年は、改めて女性たちを見た。
容姿も歳も雰囲気も、何もかもに統一性がない集団だ。黄の国の民らしき人もいれば、寧ろ雪国である銀の国あたりの出身なのではないかと思えるほど肌の白い人もいる。皆、黄の王と随分親し気な様子だが、それ以外の共通点を見出すことが少年にはできなかった。
内心で首を傾げた少年に、女性たちと楽し気に話していた黄の王が思い出したように顔を向けた。
「ああ、悪い悪い。紹介が遅れたな。こちら、俺の奥さんたち」
にこっと微笑んでそう言った王に、少年の思考が一瞬停止する。
「…………えっと……、皆さん、ですか……?」
遠慮がちにそう問えば、王は勿論だと頷いた。その答えに、少年が絶句する。
改めてきちんと数えてみると、この場にいる女性は全部で二十三人。この王は、その全てが王妃だと言うのだ。確かに貴族の重婚が認められている国は多いが、それにしたってこれだけの女性と婚姻を結んでいる人間はそういないだろう。
内心では素直に引いてしまった少年だったが、勿論それを表情に出すことはしない。だが、そんな彼の様子がおかしいことに気づいてしまったらしい黄の王は、少しだけ首を傾げたあと、ああ、と頷いた。
「可愛くて素敵で最高な奥さんたちに囲まれてる俺を見て、羨ましくなっちゃったパターンね。いやぁ、男の嫉妬は見苦しいぞぉ」
いや、全然そんなことはないのだが、と思った少年だったが、まさかそう言う訳にもいかないので、曖昧な微笑みを返しておいた。一方の王は、そんな少年にはお構いなしに、自分の奥方の紹介をし始めた。
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