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リィンスタット王城12
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だが、何せ人数が多すぎる。名前を覚えるだけでも一苦労だというのに、加えてひとりひとりの紹介がやたらと長く、少年の記憶容量は三人目あたりから既に限界を迎えていた。
結局、奥方の紹介がひと通り終わった段階で少年の頭に残っていたのは、自分でも呆れるほどに些末な情報のみだった。
取り敢えず、少年が最初に抱いた印象はあながち間違いではなく、黄の国外から嫁いできた王妃がかなりいるようだった。中には、生まれがリアンジュナイル大陸以外の人もいるそうだ。
(それだけ色んな国と交流してるってこと、なのかな……?)
だが、だからといってこんなにも王妃の国籍にこだわらないものだろうか。王家の人間ならば、そういうことには気を遣いそうなものだが。
ぼんやりとそんなことを考えた少年は、しかしその答えを知ったところで何になる訳でもないと気づき、あっさりとその疑問を忘れることにした。こういうとき、物事にあまり執着しない性格は便利である。
「という訳で、俺の愛する奥さんたちをどうぞよろしくな! そんでもって奥さんたちは、取り敢えず大勢でキョウヤに近づくの禁止ね」
そう言った王に、王妃たちから不満の声が上がる。何故だか判らないが、どうやら少年は王妃たちに気に入られているらしい。これまでに面識がないどころか存在さえ認知されていなかっただろうに、不思議な話もあったものである。
とにかく少年を構いたくて仕方がない様子の王妃が多いようだったが、それでも黄の王は頷かなかった。
「ごめんねぇ。でもそれ、禁止事項に抵触しちゃうんだよなぁ。だから我慢して? ね?」
禁止事項、という言葉に、少年が首を傾げる。一体何のことだろうかと思った少年だったが、その疑問はすぐに解けた。
懐から何やら分厚い封筒を取り出した黄の王が、その中に入っていた便箋の束を捲り始める。
「あーほらこの項目。『キョウヤは大人の女性が苦手なので、適切な距離感を保ち、強引な言動は避けること』ってあるでしょ? まあ一人とか二人とかなら良いのかもしんないけど、あんま大勢で押し掛けるのは良くないかなぁって」
そう言って便箋を見せられた王妃たちは、そういうことなら仕方ないわねー、と意外とあっさりと納得した様子だったが、納得がいかないのは少年の方である。
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