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城下にて3
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「それで、この後はどうする?」
「え、あ、えっと……」
特に何もやる予定がない少年が言い淀んでいると、アグルムが少しだけ目を細めた。
「……城下にでも出掛けてみるか?」
その提案に、少年が少しだけ驚いた顔をする。
「え、で、でも、僕が外に出るのは、あまり良くないんじゃ……」
王宮内は兵も多く安全だが、城下街となるとそうはいかない。それに、人の多い場所に行けば行くほど護衛もしにくくなるだろう。少年の置かれた状況を考えれば、このまま王宮に留まって動くべきではない筈だ。
そう思った少年だったが、アグルムは首を横に振った。
「王宮にずっとこもっていても暇だろう。それに、陛下はお前を監禁したいと思っている訳ではないんだ。だから、こちらの護衛の手が回る範囲でなら、好きに出掛けてくれて構わない。勿論、一人で何処かへ行かせる訳にはいかないし、あまり遠くへ行かせる訳にもいかないんだが」
その点については悪いと思っている、と謝罪してきたアグルムに、少年が慌てて首を横に振る。
少年からすれば、その心遣いすら過剰なほどである。本来であればやはり少年を王宮に閉じ込めておくのが最善の策だろうに、できるだけ自由を与えようとしてくれているのだ。感謝こそすれ、責めようなどという気が起きるはずもない。
しどろもどろにそう伝えれば、アグルムは少年のストールから顔を出しているトカゲに視線をやった。
「感謝するなら、グランデル王陛下にしろ。炎獄蜥蜴《バルグジート》がいなければ、お前を王宮の外に出す訳にはいかなかっただろう」
「……あ、あの、炎獄蜥蜴って、やっぱりそんなに凄いんですか……?」
お日様を浴びてころんころんと転がっている姿を思い出すと、とてもそうとは思えないが、確かに砂蟲《サンドワーム》に対して噴射した炎は凄まじかった。
そんな少年の問いに、アグルムが怪訝そうな顔をする。
「お前、炎獄蜥蜴がどういうものかも知らないで飼っているのか」
「う……、す、すみません……」
うなだれた少年の頬に、トカゲがすりすりと鼻先を擦りつける。どうやら慰めようとしているらしい。
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