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城下にて4
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「別に謝る必要はない。……そうだな、判りやすく言うと、炎獄蜥蜴《バルグジート》が本気を出せば、街半分くらいの広さなら焼け野原にすることができる」
「ま、街半分!?」
確か、グレイから教わった極限魔法の規模が、街ひとつ分くらいだった筈だ。となると、炎獄蜥蜴はその半分程度の威力を発揮できるということになる。極限魔法を使えるのが四大国の国王しかいない事を考えると、これはかなり凄いことなのではないだろうか。
「炎獄蜥蜴は炎しか扱えないから水系統の相手とは相性が悪いが、それでも幻獣としては破格の生き物だ。たった一人の人間につける護衛として、これ以上はないだろう。……グランデル王陛下は、相当過保護なお方なんだな」
その言葉に、少年がトカゲを見る。視線を受けて、こてんと首を傾げたトカゲは、とてもではないがそんなに凄い生き物には見えなかった。
「……ティ、ティアくんて、本当に凄い子だったんだね……」
そう言った少年に、トカゲはやはり首を傾げただけだった。本人にはあまりその自覚がないのかもしれない。
「という訳で、こいつと俺がいれば、城下に出るくらいならば問題はない。……どうする?」
少年は別に、外に出たいとは思わない。元々王宮に閉じこもることになるだろうと覚悟していたのだし、それを不自由だとも思わなかった。だが、だからといって国王やアグルムの気遣いを断るのは、気が引けるというものである。
「……あの、じゃあ、折角なので、お願いしても良いですか……?」
「勿論だ。それでは早速出掛けるとしよう。……ティア、だったか。お前の力にも期待しているからな。こいつの護衛として、よろしく頼む」
アグルムの言葉に、トカゲが任せろと言わんばかりに胸を張る。
こうして、二人と一匹は城下へと足を運ぶことになったのだった。
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