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まだ知らぬ想い2
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「ええと、あの、……僕なんかがご一緒させて頂いても良いのでしたら……」
控えめにそう答えた少年に、アメリアがふわりと笑う。
「そう言って頂けて嬉しいわ。それでは、暖かいコートをご用意しますね。夜のリィンスタットはとても冷えますから」
王妃の言葉に、少年のストールからトカゲがひょっこりと顔を出した。そして、小さな炎をぽっと吐き出す。
「え、ええと、ティアくん……?」
「ふふふ、そうでした。キョウヤ様には|炎獄蜥蜴《バルグジート》さんがいらっしゃいましたね。それでは、コートと一緒にキョウヤ様を温めてあげてください。よろしくお願いしますね」
アメリアにそう言われ、トカゲがこくりと頷く。どうやら、自分がいるから寒い思いなどさせない、という主張だったらしい。
アメリアが用意してくれたコートに袖を通してから、城の最上へ連れられた少年は、外へと繋がる扉を開けた瞬間、目の前に広がった光景に息を呑んだ。
「すごい……」
屋根がなく開けたそこには、視界いっぱいに広がる星空があったのだ。見たこともないくらい多くの星々が、夜空でちらちらと輝いている。空にたくさんの星があることは知っていたが、こんなにも多くの星を見たのは始めてだった。少年の住む金の国は、魔術道具による灯りが多いからか、強く光る星くらいしか見えないのだ。
驚いて夜空を見上げる少年に、アメリアが微笑む。
「気に入って頂けましたか?」
「え、あ、は、はい。あの、……とても、綺麗です」
「ふふふ、良かった。リィンスタットは他国と比べると乾燥した国ですから、とても綺麗に星が見えるんです。クラリオ様からキョウヤ様は綺麗なものがお好きだって伺ったので、是非この夜空を見せなくてはって」
「あ、……ありがとう、ございます」
そう礼を言えば、アメリアは一層嬉しそうに微笑んだ。
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