アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
まだ知らぬ想い6
-
だがその問いに、アメリアは静かに首を横に振った。
「キョウヤ様の仰ることは判ります。けれど、私は寂しいとは思わないんです。だって、クラリオ様にとって私は、確かに唯一であり、一番なんですから」
「……王妃様が、他の王妃様よりも愛されている、ということですか……?」
当然の答えに、しかしアメリアはまたもやそれを否定する。
「ふふふ、ちょっと理解しにくい話でしょうけれど、私も他の王妃様も、皆、あの方にとっての唯一であり、一番なんですよ。だから、私たちが誰かを羨むことはないんです」
そう言ってアメリアは笑ったが、少年には理解できない。それを承知しているのか、アメリアは再び口を開いた。
「クラリオ様は、私たちを等しく、一番に、心の底から愛してくださっています。私たちはそれで満足なのです。そしてクラリオ様は、全ての王妃が等しく一番であるという状況では幸せになれない人を、自分の妻にはなさいません」
全ての王妃を平等に最愛とする、など。そんなことが可能なのか、と思った少年だったが、アメリアがそれを疑っている様子はない。本当に、全ての王妃を心の底から一番に愛しているのだと。彼女の表情が、そう語っている。
「間違いなく唯一で一番だけれど、多くのうちの一人ではある、という状況を僅かも憂いることなく、同時に、この状況でなければ絶対に幸せになれない女性。それが、クラリオ様が妻として迎えるための条件だそうです。この王宮にいる王妃は、皆その条件を満たしているんですよ」
「……あの、それって……、」
この状況でなければ絶対に幸せになれない女性。その条件を満たすことができる人となると、つまり。
少年の言わんとしていることを悟ったのか、アメリアが頷く。
「クラリオ様の妻は皆、私のように何がしかの事情を持っています。だからこそ、似たような立場のキョウヤ様を気に掛けてしまうんです」
鬱陶しかったらごめんなさいね、と続けたアメリアに、少年が首を横に振る。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 197