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まだ知らぬ想い11
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赤の王の言葉を思い、また深く呼吸をする。何度かそれを繰り返すと、震えこそ僅かに残るものの、彼の呼吸は平常と変わらぬものに戻っていった。その様子を見て、黄の王もようやく少年の肩から手を離す。
暫らくの間、気持ちを落ち着けるように絨毯の上に目を落としていた少年だったが、不意にこの場にいるのが自分だけではないことを思い出し、顔を上げる。そして自分を見つめている黄の王に気づき、慌てて頭を下げた。
「あっ、あの、申し訳、ございません……!」
「いんや、別に謝ることねーよ。それより、ちゃんと落ち着けたようで何よりだ。取り敢えず、今日は風呂入ってさっさと寝ちまいな。色々あったから、疲れてるだろ?」
そう言って王は笑った王にもう一度謝罪をしてから、少年は彼の提案を受け入れることにした。確かに、様々なことが一気に起こり、体力的にも精神的にも大変な一日ではあったので、ゆっくり休む必要を感じたのだ。
果たして落ち着いて眠れるかどうかは少し不安だったが、きっとトカゲが傍にいてくれるから、なんだかんだ言っても眠ることくらいはできるだろう。そう判断した少年は、改めて謝罪と礼を残してから部屋を出て行った。
そんな少年にひらひらと手を振ってから、黄の王がやれやれと息をつく。そして、部屋にある大きな窓へと向かい、そこを開け放った。
「居るんだろ? 出てこいよ」
冷たい空気が満ちる外に向かってそう言えば、雷を纏って淡く輝くリァンが空を翔けて来た。窓からリァンを迎え入れた王が、くつろぐように絨毯に身を伏せた獣を振り返る。
「どーせ全部聞いてたんだろ? で、どうだった?」
王の言葉に、リァンが彼を見た。そんな獣に、王が肩を竦めてみせる。
「結構な演技派だったろ?」
そう言っておどけてみせた王に、王獣は何も言わず、目を伏せただけだった。
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