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深淵9
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神性魔法は、文字通り神の力の一端を借りて使用する魔法である。ならば当然、神の側の干渉値を引き上げることになるだろう。だから、神は未来視と過去視の機能を低下させざるを得なかったのだ。そしてこれは恐らくだが、過去視よりも未来視の方がより干渉値が大きいのだろう。ウロは過去視も機能が低下していると言ったが、少なくとも使用者が顕著に感じられるほどの変化はない。その一方で、未来視は誰の目から見ても明らかなほどに発動率が下がっている。つまりは、そういうことだ。
では、どうしてそうまでして干渉値を抑える必要があったのか。
その答えもまた、簡単である。
少なくとも十年以上前の時点で既に、神の側からの干渉が過多だったのだ。その原因までは判らないが、そう考えれば、ウロによって円卓の連合国が受けている影響の割に神からの助力が少なく思えるのも、後手後手に回っている印象が拭えないのも、全て納得がいく。
少なくとも十年より前に起こった神からの何がしかの干渉が大きかった影響で、今の神はこの世界に大きく干渉しにくい状況に置かれているのだ。そしてウロは、それを逆手に取っている。
投影にしか過ぎない身で個を保ち、未来の存在である王に干渉できる生き物。神を相手取り、見事対等な駆け引きをしてみせる存在。そんなものがいるということすら銀の王は知らなかったが、現実として目の前にいる以上、認めざるを得ない。
円卓の国々で知られている神は、遥か高みに存在する最上位種だ。信仰の末に存在する概念神ではなく、確固たる種としての生命である。ならば、この男は、
(――神に連なる、最上位種の一人……!)
想定し得る限り、最悪の事態だった。ウロが最上位種であったことがではない。王が置かれているこの状況がだ。
この一連の流れは、全てウロが十年前、もしくはそれよりも遥か昔に仕組んだものだった。王はまんまと、ウロの計画通りの行動を取ってしまった。
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