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王の責務3
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黄の王の寝室に王軍を束ねる武官長が跳び込んで来たのは、少年が寝入ってから少し経ったあと、まだ日も昇らぬ早朝のことだった。
「クラリオ王陛下!」
ただならぬ気配に跳ねるようにしてベッドから起き上がった王が、扉の方を見る。
「帝国が動いたか!」
「はい! 各都市に配置した軍より、たった今報告が!」
「各都市? ちょっと待て、各都市ってどこの話だよ」
リィンスタット王国には五十を超える都市が存在するが、ここのところ妙に活発だった魔獣を警戒し、その全てに王軍を派遣している。故に家臣のその言葉だけでは判別がつかない、という意図で尋ねた王は、しかし続く武官長の言葉に目を見開いた。
「王都を除く、全てです! 国内全ての都市において、帝国による魔導師たちの襲撃を確認致しました!」
「全てだと!?」
黄の国の情報網は他国よりも遥かに優れている。その情報網を以てしても、全ての都市が、という報告がなされるということは、つまり全ての都市がほぼ同時に攻撃を受けたということを示している。
通常ならば有り得ない事態だ。全ての都市に敵兵が配置されるよりも前に、絶対にどこかの都市で敵の存在が発覚し、すぐさま王都に伝えられるはずだ。だが、
(空間魔導か!)
これほど広範囲に渡って同時に魔導師を配置するとなると、魔導陣による周到な準備がなければ不可能だ。しかし、リアンジュナイル大陸内に設置されていた空間魔導陣は、青、薄紅、紫の三国が全て破壊したと聞いていた。だから、大掛かりな空間魔導は使って来ないと踏んでいたのだが、読みが外れたようだ。恐らく、破壊しきれていない魔導陣が残っていたのだろう。
(いや、でもこれは、見つけ損ねたとか破壊し損ねたって感じじゃねーな。こんだけピンポイントに魔導陣が残ってるってことは、あらかじめ重要な箇所の魔導陣を巧妙に隠してたってことだ。……つーか、あの三国が本気出してそれでも見つからないって、相当厄介だぞ)
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