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王の責務6
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「おう。納得したんならとっとと指示出して来い。あと死ぬ気でっつったけど死んだら怒るからな!」
そう言った王に、もう一度深く頭を下げてから、武官長がその場を後にする。だが、それと入れ替わるように、今度はこの国の文官長が血相を変えて走って来た。
「クラリオ王陛下!」
「今度はお前かよ! 何!」
噛み付く勢いでそう言った王に、文官長が握っていた紙を差し出した。それは、開封済みの書簡だ。ちらりと見えた宛名にはクラリオの名前が記されているから、どうやら王への手紙を無断で読んだらしい。通常であれば処罰の対象だが、緊急の場合はやむなしという規則があるため、それを適用したのだろう。つまり、そういうことである。
「先程エルキディタータリエンデ王国より緊急連絡用の|雷光鳥《ユピ》が来ました!」
「今すぐじゃなきゃ駄目な話なんだな!? じゃあ要点まとめて言ってくれ!」
「敵の主力は神に連なる高次元の生命体! 注意されたしと!」
またもや予想外の言葉に、クラリオが一瞬言葉に詰まった後、大きく叫ぶ。
「今言うかそれ!?」
「あ、あちらはまだ我が国で起こったことをご存じない故……」
「あーうん判ってる。判ってるよ。取り敢えずじゃあ、銀のじーさんにはありがとうお疲れさんって伝えといてくれ。あと、全ての円卓の国に伝達。うちの国やべーから力貸せそうなら貸してちょーだい。貸してくれるならめちゃ早でよろしく。万が一そっちもやべーことになってたらお互い頑張りましょーや。以上」
「はっ! 承りました!」
「あとこれは城内に周知しといて欲しいんだけど、ちょっと俺今から頑張るから、この部屋誰も入れないでくれ。集中切れると困る」
「はっ!」
文官長には王が何をしようとしているのかなど判らなかったが、それでその判断を疑うほど王への信頼は薄くない。王が常に最善を尽くそうとしていることを知っている文官長は、さっと礼をしてから、己の職務をまっとうするために足早に立ち去った。
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