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王の不在4
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一方その頃、南のラルデン騎士団の砦でも、魔物の襲来を知らせる団員たちの声が相次いでいた。騎士団長であるジルグ・アルマ・レーガンは、団長室にて矢継ぎ早にやってくる部下たちの報告を捌きながら、卓上の地図を見て目を細めた。
ラルデン騎士団は今、レクシリア宰相からの命により、海域の警戒にかなりの人員を割いている。帝国が本格的に仕掛けてくる場合、帝国と円卓を隔てている海から来る可能性が最も高いだろうという見通しによる指示である。ジルグもその意見には同意し、だからこそ海沿いの駐屯所に多くの団員を配置していたのだが、今回魔物の襲撃が確認されたのはもっと内陸部である。それも、一か所に集中的に現れたのではなく、随分とまばらに出現しているらしい。だが、だからと言って敵の数が少ないかというとそうでもなく、一か所につきそれなりの数の魔物がいるとの報告もされている。
魔物の出現場所は、どれもこれも砦からやや離れた都市近郊ばかりだ。すぐさま砦に残っている団員を派遣したが、やはり数が不足している。現在動かせる団員だけで処理しきれないことはないが、それでは国民や土地に一切の危害が及ばないという訳にはいかないだろう。
「団長! 新たに南南東のローグラム近郊にて魔物の出現が確認されました! ご指示を!」
「……少し待て」
これはさすがに手が回り切らない。だが、かと言ってこの緊急時に判断を引き延ばすわけにもいかない。どうするべきかとジルグが地図を睨んだとき、団長室の扉が開いた。
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