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目覚め3
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(どっちにしても僕を守れるのはアグルムさんしかいないから、それならまだクラリオ王陛下の助力が期待できそうな方を選んだ方がマシ、ってことだ……)
つまり、それだけ危機的な状況であるということである。
少年が遅ればせながら状況を把握したとき、その腰にアグルムの腕が回された。思わず悲鳴を上げた彼をちらりと見てから、アグルムがそのまま少年を抱え上げる。そして彼は、廊下から続くバルコニーに出て、そのまま外へと身を躍らせた。
その行動に驚いたのは少年である。なにせここは王宮の中でもそこそこの上階だ。そんな高さから地面に跳び下りるなど、それこそ赤の国で王獣の背から飛び降りたとき以来である。
(ひ、ひぇっ……!)
そういえばあのときも、赤の王に抱えられて無理矢理こういうことになったのだったか。
そんなことを思い出しながらきつく目を閉じた少年は、しかしアグルムが風霊の名を呼ぶと同時に落下の速度が弱まったのを感じ、恐る恐る目を開けた。
(そ、そういえば、この人も風霊魔法を使えるんだったっけ……)
だが、だからと言っていきなりこういうことをされては心臓に悪い。もしかしてトカゲも同じことを思ったのではないだろうかと考えた少年は、自分の腕にしがみついているトカゲに視線を落としたが、トカゲはなんだか楽しそうに尻尾をぱたぱたと振っていた。
(…………そっか……、ティアくん、飛べないもんね……)
多分、空を飛んでいるような心地になる落下が楽しいのだろう。少年には全く理解できないが。
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