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炎に焦がれる11
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不思議そうな表情を浮かべた少年を見て、王がその頭を撫でた。
「この空間は非常に厄介な代物だからな。全て破壊する必要があるのだ。さすがに一筋縄では壊せそうにないが、今の私ならば可能だろう」
「あの、でも、それじゃあ僕たちは、」
ここはきっと、少年が元いた場所とは異なる空間だ。それどころか、亜空間なのだとしたら、厳密には次元すらズレている可能性がある。そんな状況で空間を破壊すれば、自分たちも無事では済まないのではないだろうか。
その当然の疑問に、王は少しだけ困った表情を浮かべたあと、少年の方へと顔を寄せた。そして、金色の瞳が少年の瞳を見つめる。至近距離で揺れる炎に、少年の表情がふにゃりと蕩けた。それを確認した王は、そっと手を伸ばして、そのまま少年の眼帯を優しく外した。
瞬間、少年の見ている世界が大きく変わる。目の前の王が見せる輝きが目を灼くほどのものになり、その全身から炎が躍る様子が、これ以上ないほどに明瞭に見える。
まさに、この世のものとは思えないほどの、至高の美しさだ。
王の炎に焼かれ、とうとう空間自体に歪みが生じ、硝子が割れるような無数のひびが走り始めていたが、少年は気づかない。ただただ、この世で最も美しいものに見惚れているだけだった。
そしてそんな彼に向かい、王がそっと囁く。
「きっと、今の私ならば、お前の力を借りることができるのだ」
王の唇が、少年の異形の瞳に優しく触れる。
瞬間、少年の視界が真っ白に弾けた――
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