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共鳴6
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「キョウヤ?」
少年の様子がおかしいことに気づいたらしい王が、再び首を傾げて彼を見る。
「っぁ、いや、ええと」
うまい言葉が見つからなくて言いよどむ少年を見て、王は少し申し訳なさそうな顔をした。
「ああ、すまない。まだ疲れが抜けきっていないだろうに、そう長く会話を強いるものではなかったな」
「え、ええと、……あの、そんなに疲れてはいない、し、……そもそも、別に貴方が謝るようなことは、何もないと思うんだけど……」
確かに謎の倦怠感はあるが、会話ができないほどに疲れている訳ではない。本当に、ただ丁度良い返事の言葉が見つからなかっただけだ。それに、たとえそれが疲労によるものだったとしても、王は何も悪くないのだから、謝罪を受ける謂れはない。
ところが王は、小さく首を横に振って少年の言葉を否定した。
「あの時も言ったが、私は肝心なときに遅刻をしてばかりだ。そのせいで、お前に掛けなくても良い心労を掛けてしまっている。……たった一人も守れないような、不甲斐ない王ですまない」
そう言った王の表情に、少年は思わず口を開いていた。
「そ、そんなこと、ない……!」
少年にしては珍しく大きな声だ。自分で自分の声の大きさに驚いてしまった少年だったが、ここで言葉を止める訳にはいかないと、何故だか強く思った。
「あなた、が、不甲斐ない王だなんて、」
こんなにも王である人など、きっと存在しない。円卓の王は総じて優れた王なのだろうけれど、少年からすれば、赤の王こそがその最たるものだった。
どうしてなのだろう。どうして、こんなにもこの王が最良の王であると強く思うのだろう。少年は赤の王のことをそこまで詳しくは知らないし、他の王のことなどもっと知らない。それでも、この人が不甲斐ない王ならば、この世に真の王はいないとさえ思った。
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