アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
エピローቖ₩⸿⸎ⶼᚙ 10
-
「その吐き気がするほどの醜い様を眺めるのも一興だけど、君にここで死なれたら計画倒れなんだよね。だから、その馬鹿みたいに緩みきったネジだけ締めさせて貰おうかな」
その言葉と共に、ロステアールの髪や目から輝きが失せ、元のくすんだ赤へと戻っていく。呆然とするロステアールの視界の端に、頭上から落ちてくる巨大な落雷が映ったが、彼にはやはりそれが何なのかを理解することができなかった。
一方の仮面の人物、ウロは、自分を狙って放たれた落雷をなんでもないことのように指先で弾き飛ばし、ロステアールの心臓を握る手に力を籠めた。
「…………死なれると困るけど、傷物になるのは別に構わないんだよね」
笑い交じりに囁かれた言葉に、ロステアールの全身が悪寒に包まれる。全身が小さく震え、引き攣ったような音がその喉から漏れた。
心臓などという表現では生温い。もっと奥の、最も大事なものに、触れられた。そして今まさに、それに爪先が突き立てられようとしているのだ。
未だかつて味わったことのない恐怖が、ロステアールを襲う。だが、彼に抵抗することはできない。圧倒的な強者を前に、指先ひとつ動かすことを許されない。
そんな彼を嘲笑うように、ウロの爪がそれを抉ろうとした。
――瞬間、空を覆う雲を貫き、天上から一筋の炎が奔った。周囲の空気を焼き払いながら真っ直ぐに自分に向かってくるそれを捉えたウロは、赤の王の胸からずるりと腕を引き抜いた。そのまま王の身体を邪魔だとでも言うように突き飛ばし、両手を炎に向かって突き出す。
「あっはははははははは! 僕が本気でこいつの魂を傷つけると思ったの!? 馬っ鹿だねぇ!」
凄まじい熱量の炎を両手で受けて掻き消したウロが、空を見上げながら、地面に転がった赤の王をわざとらしく蹴飛ばした。
「まさかそこまでこれに執着してるとはねぇ! あんたのお陰で、天秤は完全に僕の味方だよ!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
196 / 197