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『日崎……?』
いつものベンチ、いつもの景色。だけど、日崎がいない。
そう思って瞬きをひとつするといつも通り右隣に日崎がいて、これは紛れもなく夢なんだと気づく。
俺だけをじっと見つめる日崎の瞳は、とても美しくて、すぐに消えてしまいそうで。
──どうか日崎をこの夢の中に引き留めなければ。
夢の中の思考や言動というものは、自分のものであるはずなのに理解不能で、俺はただその一心で右腕を伸ばした。
指先が日崎のなめらかな首筋にたどり着く。
もっとも、目でそれを確認しただけで指の感覚はない。
日崎は全て分かったようにまぶたを閉ざした。
長いまつげが微かに風を呼んだ気がした。
残った左腕も日崎の頬に添えて顔を傾けて近づける。──日崎が俺にしたように。
気づけばここはいつものベンチではなく、俺の部屋の俺のベッドになっていた。
そして俺が仰向けで寝ている上に、日崎が四つん這いになっていた。
今度は日崎の腕が俺の頭を包み込み、日崎が顔を近づける。
まぶたを閉じたその綺麗な顔を間近で見ようと思って俺は視線をはずさない。
日崎の唇を割った赤い舌先が俺の首筋をなぞり、耳朶をそっと撫でた。
『んっ……ぁ…』
夢のはずなのにリアルで熱くて、息が漏れる。
──だけど、現実で日崎がこんなことを俺にするわけがない。
そう思って後ろめたくなる自分もいるけど、せめて夢の中にいる間は、日崎の瞳が俺だけを捕らえている間は、どうかこのまま……。
日崎が俺の唇の端をそっと舐め取ったとき──
ピピピ、ピピピ。
充実感と寂寥感が同時に襲いかかる。
なんでこんなに嬉しいんだ。なんでこんなに切ないんだ。
──俺のソレが半ば勃っているのは、生理現象ということにしておく。
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