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ごめんね ※微R
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しにたい。
そう呟くと彼は薄く笑いながら自分の帯を緩める。
「こーら、顔、隠さない」
「むり……もう恥ずかしすぎて…ほんと、むり」
だってほら、こんな姿誰にも見られたことないのに衣服全部剥がされて、後孔を丁寧に解されて。
もう顔見られたくない…せめて目だけでも隠すのを許して欲しい。
「ね…、分かる?ほら、オレも人魚族なの」
「ぁ、」
ほら、と手を掴まれ彼の太ももあたりに触れる。
さらさらとした、けれどちゃんと鱗だ。
きっと彼も俺と同じぬめり止めの薬を飲んでるのだろう。
本当に、同族なんだ……。
嬉しい。自分に嫌悪を抱いていないということも、初めて理解してくれる人に出会ったことも。
そして彼も同じように緊張していることも。
手を掴むその手がふるふると震えている、『慣れている』と思っていたけれどちゃんと緊張してくれているんだな。
そう思うと少しだけ動悸が収まった気がした。
「それじゃあ続き、するよ」
「……ん、いいよ、来て」
豚の射精は確実に雌を孕ませる上に、精液の量と長さが半端じゃないと噂に聞くが、彼の行為は一回一回の周期はそう長くない分、数が多い。
冗談抜きで腹上死で死ぬかと思った……
流石にやり過ぎだと思ったのか、しばらく手足を動かせないでいる俺を彼はもう一度浴室へ連れて行ってくれた。
自分も人魚族でこの生臭さからろくな働き口もなく、死にかけているところに手を差し伸べてくれたのがこのゆずやの絢女という花魁なのだとシャワーを浴びている間、彼はそう言った。
「そういえば橙子って呼ばれたあの花魁とも仲良さそうだった」
「えぇ。橙子さんは特に、歳が近いから。よく小さい時から扱いてもらってたんです。皆家族みたいなものですよ」
「そう……いいね」
俺にはもう家族と呼べる存在はいない。
だから少し羨ましいよ。
そういう意味も込めて言うと、彼は脱衣室前で見たお手本みたいな笑みとは違う、素の笑顔で「でしょう?」と笑った。
そうだ。
あの時の笑顔は偽物で、彼を傷つけてしまったのはたしかなんだ。
「あの、さ。さっきはごめん……」
だから酷いことを言ってしまったことについてもう一度謝っておきたかった。
『俺じゃなくても』
流石にもうわかったよ。
数時間前、あの石段の上で他の誰でもない俺を誘ってくれた。
俺だから、声をかけたんでしょ。
マニュアルサービス以上の饗しをされて、あんなふうに涙を流すところを見て、彼と深くまで繋がって。
やっと気がついた。
彼の俺への思い、俺の彼への思いも。
だから今度は安いセリフのように受け取られても、言い訳のように聞こえてしまってもちゃんと全部言いたかった。
「3ヶ月前に会ってたこと、忘れられた気がして少し妬いただけなんだ……から、本当はあんなこと…」
「分かってますよ、その前に『一緒だ』と笑ってくれた事が嬉しかったから。何も気にはなりませんでした」
あの時の横顔は悲しそうに見えたけれど、喜んでいたのかと少しだけ安心した。
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