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愛吐き
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俺の全て。恋。
とん、と、背中を押した。
頑張ってね、の意味を込めて。
え、という顔をしていた。
そりゃそうだよなぁ。だって、目の前で扉、閉まっちゃったもんなぁ。
「ばいばい。」
ゆっくりと、恋が言葉を読み取れるように口を動かした。
泣くな、俺。泣いたら恋が、前を向けなくなってしまう。
赤い髪が、見えなくなるまで、俺はホームに立っていた。無情にも去っていく電車を見送って、ふ、と力が抜けてしゃがみ込む。
恋。俺の全て。
口の悪いところも、ポジティブなところも、優しいところも、女の子にちょっと厳しいところも、口元の黒子、一つのことに一生懸命になれるところも、泣き顔も、笑顔も、拗ねた顔も、蕩けた顔も、俺を撫でてくれる手のひらも、俺を未来につれていってくれるその腕も、俺の、俺の全て。
大好きだよ。
「ふ、っ!ぁ、あ、あ、…!!ぁぁ、れん、恋、…っ!れん、…ぅっ、あ、恋、…!!」
嗚咽が止まらない。涙がとまらない。
確かに恋だった。
俺は確かに恋をしていた。
でも愛してはいなかった。
不思議なことに、俺は恋を履き違えていた。そして、
愛を吐いた。
「あ、ぁ、…っうぁ、っ、ごめ、ごめんね、れん、…っ!!っ、だいすき、だいすき、だいすき、…だいすき、だよ」
せめて、あなたの足枷になりたくないから。だからどうか俺を忘れて、忘れてください。本当の恋をして、本当の愛をして、子供ができたっていい、きっと相当可愛いはずだろう。もし相手が男でも、俺はちゃんと祝福をしてあげよう。
だから俺のためにもう後ろは振り返らないで。
いつになるか、わからないけれど、俺はもっと、恋がいない世界で、何か見つけられたら、胸を張れるような男になれたら、そしたら、迎えにいくから。走っていくから。
そしたらまた、笑ってくれますか。
「バーカ!心配かけさすんじゃねぇよ!」って叱って、「おかえり」と撫でてくれますか。
その温もりを想っていても、いいですか。
今だけは涙が止まらないけれど、俺も前を向くから。本当にしたいこと見つけて、夢をみつけて、叶えて、そしたら恋に会いにいくから。
どうか、あなたの夢が叶いますように。
どうか、あなたが 幸せになりますように。
END
ご愛読ありがとうございました!近日続編を公開しますので、よろしければそちらも楽しんでいただければと思います。
じゃめ
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