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次の日。三連休の二日目。今日は一日中、二人でいられるという日である。
特に目覚ましなどもかけていない。ゆらゆら、結弦は自然に目を覚ました。今度はきちんと、隣に透が寝ていて……安心。
カーテンの隙間から差し込む朝日。結弦が起き上がってぼうっと窓の方を見ていると、透も起きてきた。
「おはよう、透」
「はよ……」
「腕、大丈夫?」
「うん。……ありがとう」
「もうちょっと寝る? 僕、ご飯とか作っとくよ」
「………うん……」
言うと透が、再度布団を被って目を閉じた。好きなだけ、寝かせてあげよう。
結弦はベッドから出て、洗面所を借り顔洗いなどを済ませると、何か作るべく冷蔵庫を開けた。中身がろくにない。そうだ。昨日の夜に、食材を使い切ってしまったのだった。
どうしよ、と思い、時間を確認する。この時間ならもう、近くのスーパーが開いている。
朝ご飯作るのにわざわざ、とも思ったが、透にいいもの、食べて欲しいから。結弦はさっと着替えて、エコバッグと財布とスマホを携え、
「透。僕、ちょっと買い出しに行ってくる」
「いいよ、わざわざ」
「まあ。けど、もうスーパー開いてるし行ってこようかなって。すぐ、帰ってくるから」
「ん、わかった……」
というわけで。購入したものは卵と、味噌汁の具になりそうなもの。あとはついでに、ガーゼと包帯。見かけたなら、買っといてあげよう。
帰ると透はまだ眠っていたので、結弦は先に朝食の準備に取りかかる。
献立は、味噌汁と目玉焼きである。自分だけのときには朝食を食べること自体少ないが、透と一緒に食べると思えば、朝から二品も作ることができるのだから不思議だ。
できあがった頃、透の様子を見ようと部屋の様子を窺った。見れば、透がベッドの上で起き上がってぼうっと視線を落としていた。また鬱な気分になったのだろうかと些か身構えながら「どうしたの?」聞くと、透が淡々と「傷、開いてる」と。
「腕に布団くっついてる」
「え」
そんなことあるんだ……。
「まあ、剥がすしかないか」他人事のように呟くと、慎重に、透が自身の腕から布団を離した。その腕を見ると、本当だ。また血が出てる。
「なんか寝ると傷開くことあるんだよね……」
「ま、待って。僕、ガーゼと包帯、買ってきたから」
エコバッグからそれらを出して、早速開封し、彼の腕の手当てへ移る。
また赤く汚れてしまった彼の腕を濡らしたティッシュで拭いてやり、ガーゼを然るべき大きさに切ると、その上から包帯を巻いてやった。
「結弦、包帯巻くの上手いね」
「そうかな」
「うん。きつくもないし、緩すぎもしない」
包帯の巻かれた左腕を嬉しげに眺める透に、結弦は複雑である。「左腕に包帯が巻いてある」って、モロだよなって。
「朝飯、作ってくれたの。いいにおいする」
「あ、そうそう。それで起こしに来たんだ。食べる?」
「うん」
ありがとう、と透。よく寝たからか、昨日の夜より幾分か元気を取り戻しているようで、結弦はほっとした。
***
朝食を終えた。
皿洗いは透がやると言ったけれど、結弦がやることにした。左手を動かすのは、つらいんじゃないかなと思って。
「そうだ。結弦」
皿を洗っていると、透から声がかかった。透の方を向いて、結弦は応える。
「なに?」
「いくらだった? 食材も含めて」
「あー、いいよ。今回はおごり」
「や、悪いよ」
「いいって。泊まらせてもらってるしさ」
「……そう?」
「うん。あと今日、どうしよ? どっか行く?」
結弦が聞くと、透がしばらく考えた後、首を横に振った。
「俺は、家でゆっくりしたい……かも。結弦は? 結弦が行きたいとこあるなら」
「んーん、俺もここでいいよ」
透と過ごせるなら、何でもいいと思ってるから……。
なのでそれから、だらだら過ごした。
こんな風にゆったりとした時間を過ごすのは久々だ。他に気が移ることもなく、ただ透といられることを幸せだと思う。ずっと一緒にいたいのに、明日出張先へ戻らないといけないのが、残念で残念で……。
出張なんか、ほんとに早く終わらないかなあ。
そしたらまた、どっちかがどっちかの家に入り浸って、透と長い時間、一緒にいられるのに。
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