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黄瀬side2
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たどり着いた体育館裏には、バスケ部の半分ほどの部員たちが既に集まっていた。
その部員達の中心には、
腕を抑える惟葉っちと、それを支える緑間っち。
そしてそこから少し離れたところには、
──くろ、こっち……
呆然と立ち尽くす黒子っちが、いた。
周りの話から、黒子っちが惟葉っちに告白して、フラれたからカッターで惟葉っちを傷つけたということが分かった。
先程から渦巻いていた不安が、
いっせいに膨らんだ。
──俺がいたのに、黒子っちは惟葉っちに告白したんスか……?
一番考えたくなかった、一番信じたくなかったこと。
黒子っちの裏切り。
いくら黒子っちを信じようとしても、
いくらほかの可能性を考えようとしても、
これ以上、脳が働かなかった。
──なんで?どうして?あんなに幸せそうだったのに……
そんな考えが脳を占拠した。
その時。
「黄瀬、君?」
掠れた、いつもよりずっと弱々しい黒子っちの声が聞こえた。
黒子っちを見てみると、
黒子っちはなぜか尻餅をついていて、
僅かな希望を抱きながらこちらを見ていた。
──信じたい。
だけど、それだけの勇気がない。
そうしてるうちに、赤司っちが黒子っちの名前を呼んだ。
ひどく冷たい、感情のない声で。
その声が聞こえた瞬間、惟葉っちのことを一気に思い出した。
そして俺は、目の前の現実から逃げるように、惟葉っちの元へ走ってしまった。
黒子っちのことを、考えもしないで。
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