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紫原side
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赤ちんは強い。
少なくとも、俺よりは強い。
だから、いつも赤ちんの言うことは聞いてきた。
赤ちんが右って言うなら右にしたし、バスケをやれって言われたから面倒くさいバスケも続けてきた。
バスケは面倒くさいけど、楽しくなくはなかった。
そんな時。
惟葉っていうマネージャーを、黒ちんが襲った。
──あんな弱い黒ちんが、襲えるわけないじゃん。
馬鹿らし〜って思いながら、赤ちんについて行った。
辿り着いた場所には、惟葉ってマネージャーと、黒ちんがいた。
涙目て笑って、小さく震えるマネージャーと、現実を拒否するかのように立ち尽くす黒ちん。
何も知らない人が見ても、黒ちんがマネージャーを襲ったって思うと思う。
けど、俺は何も知らない人じゃない。
黒ちんの真面目さを知ってる。俺はそれ嫌いだけど。
黒ちんのバスケへの想いも知ってる。
黒ちんが、ちゃんと黄瀬ちんを愛してたのも知ってる。
黒ちんがどんな奴かも知ってる。
影は薄いけど本当はウザいくらい男らしくて、実はミドちんより頑張ってて、俺たちを心の底から信じてる。
そんな黒ちんだから、真面目嫌いな俺も認めてる。
そして、俺の知ってる黒ちんは、女の人なんて襲ったりしない。
それにほら、見てみてよ。あのマネージャー。あの笑い方。
みんなに気づかれないように、みんなが見てない時だけまるで黒ちんを嘲笑うように笑ってる。
俺はてっきり、みんなも分かってるのかと思ってた。
でも、違ったみたい。
赤ちんも、峰ちんも、ミドちんも。
みんなマネージャーの方に行っちゃった。
本意じゃないけど、赤ちんも行ったから、俺も行く。
ちょっと罪悪感。でも、黄瀬ちんは黒ちんの方みたい。よかった。
──だって、恋人だもんね〜。
でも、それも違ったみたい。
黄瀬ちんもこっちに来た。黒ちんを置いてきた。
なんか、すごくくだらなく思えてきた。
──なんだ、結局その程度だったんだ。ちょっとガッカリだな〜。
そして、可哀想な黒ちん。
同時にちょっと疑問。
──いつも正しい赤ちんが間違えるなんて、めずらし〜。なんでわかんなかったんだろう?
不思議に思ったけど、考えるのも面倒くさかった。
その日、黒ちんは謹慎処分を受けた。
謹慎が解けても、黒ちんはしばらく来なくて、その間に、黒ちんが悪くないって思ってるのが俺だけってことが分かった。
相変わらず赤ちんが気づく様子もない。
面倒くさいから、俺も気づかないフリをしてた。
もやもやしたから、部活にはあんまり行ってなかった。
そしたら今日、昼休みにミドちんが変なことを言った。
──黒ちんを後悔させたい?黒ちん何もしてないのに〜?ばっかみたい。
正直、呆れた。
でも、赤ちん、峰ちんも賛成してきて、だんだんイライラしてきた。同時にちょっと、悲しくもなった。
──なんでみんな分かんないんだろ〜。
赤ちんが俺を誘ったけど、流石にそれはできなかった。だって黒ちんは悪くないんだから。
まだみんなが話してたけど、先に屋上を出た。あんなところにはもういたくない。
──いっつも赤ちんについてきたけど、今回ばっかりは無理だな〜。流石に。
いつもよりあんまり美味しくないお菓子を食べながら、ずっと考えていた。
──俺が、赤ちんの間違えを直してあげなきゃ。
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