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紫原side
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家に帰る途中で、ベンチにぐったりしてる黒ちんを見つけた。青い顔で、ひたすらに涙を流し続けているその顔も体も、足跡とかアザとかでボロボロだった。
「あれ?黒ち〜ん?もしかして死んでる〜?」
そう口で軽く言ってみたけど、心の中は荒れに荒れまくってた。
──誰だよ、黒ちんをこんなにした奴…!許さねぇ……!でもそれより、黒ちんの手当てしないと〜……
そう思ったから、とりあえずおんぶして俺の家まで連れて帰ることにした。
家に着く途中に黒ちんが一回起きたけど、すぐにまた寝ちゃった。
家に着いて手当てとかしたけど、そんなことしたことなかったし、器用でもなかったからすごく時間がかかった。やっと出来たと思って時計を見たら、夜の八時だった。
「え、やば〜。……連絡した方がいいのかなぁ……」
ごめんって心の中で言って、黒ちんの携帯を借りた。アドレス帳とかよくわかんなかったから着信記録と発信記録で一番多いやつにした。その人の名前は、高尾君、と言うらしい。
プルルル、ガチャ。
『もしもしテっちゃんー?』
──え、出るの早いなぁ。
「えっと、こんばんは。」
挨拶は大事だって赤ちんも言ってたから、とりあえず挨拶した。他の人の携帯借りることも自分から誰かに電話することもなかったから、何を言ったらいいのか全然わかんなかった。
『?こんばんは……?え、てか誰?』
──あ、名前言ってなかった。
「黒ちんとおんなじ学校の紫原っていうんだけど……」
そう言った途端、なんか怒られた。
『はぁ!?帝光中のクズが何の用だよ!てかテっちゃんはどうしたんだよ!無事じゃなかったらぶっ殺す!末代まで祟ってやる!!』
──コイツ、何なの?
もともと気が短かった俺は、凄くイラっときた。
「は?何なんだし〜。初対面にその対応とかないわ〜。大体なんで俺が黒ちんを傷つけなきゃいけないわけ〜?てか。マジそーゆー真面目君イラつく〜。」
でも、相手も負けず嫌いだったみたいで、さらにヒートアップした。
『はぁ!?帝光中の奴らは生徒も教師もみんなクズなんだよ!てかテメェも何で人の携帯使ってんだよ!今どこだよテメェ!!!』
その後も激しい言い争いをした後、その高尾君という奴より大人だった俺(←)は先に冷静になって本題を話してあげた。
「黒ちんがベンチで倒れてたからわざわざ家まで連れて来たの〜。手当てもしたけど、目が覚めないようだし、もう遅いから誰かに連絡した方が良いと思っただけだし〜。」
思い出してまたイライラしたけど、お菓子を食べてなんとか我慢した。
『ふーん……じゃあテっちゃん迎えに行くからお前ん家教えろ。』
「あー。えっとね、コンビニをまっすぐ行って右に曲がって左に曲がって突き当たりを〜……」
『ちょ、まて!お前馬鹿か!?コンビニってどこのだよ!東京に何個コンビニがあると思ってんの!?お前の説明じゃ辿り着ける気がしねぇよ!地図かなんかよこせ!』
「え〜。めんどいからやだ。明日の朝黒ちんの家に黒ちん連れていくのじゃダメなの〜?」
『ダメ。信用できない。住所でもいいから教えろ。』
──頑固だなぁ〜。
そう思ったけど、俺は大人だから(←)教えてあげることにした。
「えっと、××町の××××……」
『あれ?テっちゃん家とちょっと近いじゃん。分かった。十分以内に行くから。手ぇ出すなよ!』
「出す訳ないじゃん。じゃ。」
ブツッと電話を切って、部屋の床に寝転んだ。イライラは止まることなく、俺は高尾君とは絶対仲良くなれないと思った。これはマジ本気で。
「…はぁ〜。黒ちんの世話しよ〜。」
そう言って黒ちんの寝顔を見ながら(←世話してない)高尾君が来るのを待った。
よほど急いで来たのか、高尾君は五分で俺ん家に来た。家に入れて黒ちんの無事を確認した後も性格は悪かった。
それでやっぱりケンカしてたら黒ちんが起きて、なんか恐がられた。
──……まぁ、今までのこと考えたらこれが普通だよね〜。
その後ちゃんと味方だよって言って信じてもらった。そしたら、また泣き出す黒ちん。泣き過ぎて涙枯れないのかな〜。
でも、こんなに黒ちんを傷つけたのは赤ちん達で、そう考えたら悲しくなった。
ずっと一緒に居たのに。
仲間って言ってたのに。
いつだって信じてたのに。
こんなにも簡単に、裏切っちゃうなんて。
「……ごめん…黒ちん………」
こんなこと初めてってくらい、後悔した。
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