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恐喝……?
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次の日の朝は、これでもかというくらいスッキリと起きれました。アラームより前に起きたんですよ、すごくないですか?
いつもより余裕をもちながら準備をし、時計を見る。
──あ、そろそろ行きますか。
そう思い家を出て、向かった先は紫原君の家です。そう、昨日話し合って決めたことです。
学校の登下校は紫原君と一緒にする。
学校内にいる時もなるべく一緒にいる。
呼び出されたりしたらそのまま行かずに紫原君に伝える。
それを決めた後、何か高尾君が紫原君に耳打ちしていましたが、結局わからないままでした。
──まぁ、そんなことくらいどうでもいいですが。
そんなことを思っていると、いつの間にか紫原君の家に着いていました。ほんの少し緊張しながらインターホンを押すと、慌てながらシャツのボタンをとめている紫原君が出てきました。
「ごめん、黒ちん〜!俺いつもこんなに早くに出ないから……!待ってて!急いで支度するから!あ、中入ってて〜!」
「あ、はい……お邪魔します。」
玄関に入り、少し待つと、大きな紙袋を一つ持った紫原君がきました。よほど急いだのか、髪の毛もボサボサでボタンも一つずつずれていました。
「ごめん、お待たせ〜。行こっか〜。」
「はい。それと、ボタンずれてますよ。」
「マジ?あ、本当だ〜。………これでだいじょぶだよね?」
「はい、大丈夫です。あと、その紙袋は?」
「食後のおやつ〜。」
「……昼食後に食べるんですか?」
「半分ね〜。もう半分は今なくなっちゃうから。」
「身体壊しますよ……」
「今壊れてないならだいじょぶだよ〜。黒ちんも食べる?背伸びるかもよ?」
「いりません。」
そんな会話をしながら、学校へと向かいました。
学校に着くと、案の定ざわつかれました。「なんで紫原君が…?」「騙されてるんだよきっと……」などの声が次々と聞こえてきて、頑張ると決めたのに足が震えました。
──僕は、変わるんです。二人と一緒に…
そう思うと、震えは嘘のようになくなりました。
「大丈夫〜?」
「はい。大丈夫です。」
「そっか〜。あ、ちょっと職員室寄っていい〜?」
「……?はい、いいですよ。」
理由もわからないまま、職員室に行くことになりました。
「失礼しま〜す。俺らの学年主任のセンセーいますか〜?」
「ん?先生に用か?紫原と……黒、子。」
──あ、この先生は……
授業中に一番僕を無視する先生でした。
「とりあえず……向こうの部屋で話そうか。な?」
そう言って、隣の生徒指導室に入りました。
──先生、目がとてもキョロキョロしてますね……というか、何故こんなことを?紫原君…
そう思っていると、紫原君がいつもの口調で、とんでもないことを言った。
「俺と黒ちんを一緒のクラスにしてほしいな〜って。」
「……え!?」
──というか、敬語は?
驚く僕と先生。しれっとしている紫原君。しかし、先生も固まっているだけではなかった。
「は、ははははは……突然何を言うかと思えば……無理だ。そういう特別に贔屓することは先生はしない。」
「そっか〜。じゃあ今この学校で起きてること警察に言うね〜?」
「「…え!?!?」」
──これはもしかして……恐喝?
「センセーはさ〜、今黒ちんがいじめられてること知ってるでしょ?なのに止めないんなら、せめて一緒のクラスにして?じゃないと、黒ちんの友達が警察に通報しちゃうよ〜?」
──まさか、あの時!?
昨日、高尾君が紫原君に耳打ちしていたことが頭に浮かび、合点がいきました。よく考えれば、こんな話を紫原君が思いつくとも思いませんし。
「なっ……本当か黒子?!」
急に話を振られ、戸惑っていると、紫原君が目で話を合わせてと言っていました。
「え?……えっと…まぁ……?」
僕が否定しなかったので(曖昧ですがおそらく肯定に聞こえたと思うので)先生の顔が一気に青くなりました。
「そんな……警察……PTA……クビ……!?」
「だから〜、俺と黒ちんを一緒のクラスにすればその友達も警察には言わないって〜。」
さっきの言葉をもう一度紫原君が言うと、バッと僕を見る先生。
──目が必死過ぎて怖いです……
「本当か!?本当にそうなのか黒子!」
「え?……えっと…まぁ……?」
「………よし、他の先生とも相談してこよう。少しここで待っていてくれ。」
「おっけ〜。」
紫原君の返事を聞く前に急いで職員室に消える先生。すると、一分もしないうちに職員室から阿鼻叫喚の声が聞こえてきました。
「今頃、職員室はカオスでしょうね……」
「だろうね〜。なんて言ったって、警察沙汰だからね〜。」
──他人事のように言ってますけど、言ったのは君ですからね……?紫原君…
呆れたのと疲れたのでぐったりと椅子に座っていると、五分もたっていないのに先生が戻ってきました。
「……紫原が黒子のクラスに移動することが決まった。」
──マジで!?
思わず口調が変わるほどびっくりしました。当の紫原君は「ありがと〜。」とのんきに言っていますが、これは普通に異常事態です。
「そのかわり、警察には……」
「言わない言わない〜。友達にもそう伝えとくって〜。」
「よし……二人とも、教室に行っていいぞ。紫原は机と椅子も持って行けよ。」
そう言うと、少し疲れたように職員室へと帰って行きました。
「よかったね〜。」
「そ、そうですね……」
──これって本当にいいんでしょうか?
そう思いましたが、紫原君が同じクラスになってとても安心したのも事実なので、よしとしました。
「じゃあ、行こっか〜。」
「はい。」
そう言って、二人で教室に向かいました。
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