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縋る相手
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朝の騒動のせいか、あの後僕らは一回も絡まれないまま放課後を迎えました。
むしろ避けられていましたね。
──でもまぁ、楽だったんですけどね。
「さて、と…帰りましょう。紫原…く、ん……」
あれ、何故でしょう。
紫原君が、死んでいますね。
「……か…………ち……」
何か言っていますが、小さ過ぎて聞こえません。
仕方ないので近くに行くと、やっと紫原君の身に何が起きているのかわかりました。
「赤ち〜ん…赤ちん〜……」
──赤司君欠乏症ですね。
そういえば、毎日毎日赤司君大好きで赤司君とばかり一緒にいたのに今日は一度も会っていません。僕が黄瀬くんを求めるのと同じくらい……いえ、僕は表に出さないだけなので僕の方が黄瀬くんを想っていますが、それと同じように紫原君も赤司君に会いたいのでしょう。
それを簡単に表すなら……
貴方が、足りない。
──僕だってそうじゃないですか……。だって、離れることは、こんなにも──
苦しい。
「戻りますか……?紫原君……」
気がついたら、そう言っていました。
その言葉を聞いて、ピクリと動く紫原君。目が合った紫原君は何を言っているのかわからないというような顔をしていました。
「戻りますかと言っているんです。紫原君。君は、赤司君といた方が幸せでしょう…?」
僕の「そばにいてほしい」と、紫原君の「そばにいたい」はあまりにも違い過ぎて。だから、僕はこれ以上僕のような人を作りたくはないと、心の底から思いました。
「紫原君の気持ちはとても嬉しかったですよ。僕は君を……」
だから、言わなければ。
「君をっ……」
言わなければ。
「君をっ…!」
「黒ちん。」
言わなければならないのです。
〝君を許します〟と。
「僕は君をっ……!」
──あぁ、僕は……
「黒ちん!」
「っ!!」
「行かないよ。俺は。」
「でも……君は赤司君に…!」
「会いたいよ。会いたいけど、今戻って赤ちんと一緒にいても、俺は幸せになれない。俺は俺を、赤ちんを、絶対に許せないから。」
僕の肩に手を置き、悲しく、優しく笑う紫原君。
「でもっ!!」
「教えてあげたいんだ。俺が。愛してるからこそ、絶対に、教えないといけないんだ。黒ちん。俺のために、そばにいさせて?」
「!!!」
知りませんでした。僕は全く知らなかったのです。
「僕は………」
紫原君に縋りつき、涙を流し続ける僕。
その頭の中で、ずっと思っていた事。
──あぁ、僕はなんて……
きたないんだ。
行かせなければならないのに。
行かせたくない、なんて。
君が傷つくとわかっていながら
君に縋ってしまうなんて
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