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罰
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紫原君と別れ、一人家路を歩きながら、頭の中はずっと先ほどのことでいっぱいでした。
──何故、言わなかったのでしょう。〝許します〟と。いいえ、そんなものの答えはわかっています。僕がきたないから。弱いから。紫原君に縋らないと、生きていけないほどに。このままではいけないのに、わかっているのに、変えないなんて。僕は…いつからそんなにきたない人間だったのでしょうか………
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる。
回る思考。出ない答え。それが、僕がわざと答えを出していないようでまたイライラ。本当に、今すぐ死にたいような気分になりました。
「もういっそ、死んじゃいましょうか……」
一人でポツリと呟くと、カラスが一羽、それに応えるように鳴きました。
その声につられて空を見上げて、すっかり日が暮れていることに気づく僕。確か、紫原君と別れたのはまだ夕方でもなかったのに。
時刻を見ようと携帯を開くと、大量に表示される高尾君からの着信履歴。その表示をぼーっとみていると、高尾君から電話がかかってきました。
出るか出ないか迷っているうちになんだかどうでもよくなって、とりあえず通話ボタンを押しました。
『…!!もしもし!?テっちゃん!今どこよ!!??』
──どこ?ここは……どこでしょう………
辺りを見回し、電柱に書かれた住所を見つけました。もともといたはずの場所からかなり離れていて少しびっくりしながらもそこに書かれた文字を呟くと、それを聞き取った高尾君が、『すぐ行くから!』と電話越しにドアを開ける音がしました。
──来て、くれるんですね……
僕は、こんなにもきたないのに。
流れる涙を無視しながらフラフラと歩き続けていると、目の前に数人の男子が現れました。
「キミ、黒子クンだよねぇ?ちょっと一緒に来てくれないかなぁ?」
ニヤニヤと笑うその人たち。何をされるのかなど大体予想がつきましたが、何故か恐いとは思いませんでした。
──この人たちは、僕に罰をくれる。
携帯を耳に近づけると、こちらの状況が聞こえたのか、『行っちゃだめだ!逃げて!』と叫ぶ高尾君。
「これが…罰なんですよ……」
携帯にそう呟き、高尾君が何か言う前に通話を切りました。そして、後ろから来た衝撃につられるように、僕は意識を手放しました。
ごめんなさいなんかでは足りない。
許されても、僕が許せません。
だから、これは僕から僕に。
僕はもうきたないから。
これ以上、きたなくなんてならないから。
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