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高尾side
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家でゴロゴロしていると、急に紫原から電話が来た。
「ちっ……もしもし?」
『あ、高ちん〜?』
「高ちんとか言うな!」
──てかいつの間にそんなあだ名つけたんだよ!!
コイツの事は、正直言ってあんまり好きじゃない。
帝光中の奴らの一人だし、キセキの赤司といつも一緒にいるって聞いたこともある。
でも、テっちゃんの味方になったし、ガキみたいに素直なところもある。そして、コイツの中にある強い想いもわかった。
だから、俺は信じることにしたんだ。
「で?なんか用なわけ?」
『あ、そうだった〜。あのさ、今日のことなんだけどさ……』
テっちゃんと一緒のクラスになれって言ったのは俺だ。その方が安全だし、いざって時に情報が伝わりやすいだろうから。
その提案通り紫原は一緒のクラスになれたらしい。そこはよかった。でも、そのあとの出来事を聞いたらそれどころじゃないだろ。
「ふーん。で、テっちゃんのクラスの男子に赤司の悪口を言われてキレて、相手の歯を三本も折った後にテっちゃんになんかされて保健室に行ったって?
……馬鹿じゃねぇの!?」
『反省してるって〜。それに、その後は誰にも絡まれなかったんだし、いいじゃん〜。』
「いや、よくねぇからな!?」
──ガキみたいに素直なところがあるって、ガキすぎるだろ!てかガキだろ!
「ったく…そんなことしてもしお前が停学処分とかになったらどうすんだよ……ここぞとばかりにテっちゃん狙われるだろ……?」
『……そこまで考えなかった……』
「考えろよ!?いいか?今、テっちゃんの味方は俺たち二人しかいねぇんだよ。そんで、学校に行ってる間テっちゃんを守れるのはお前だけなんだ。俺だって助けたいけど、場所的にどうしても時間切れってことになっちまう……テっちゃんだって、普通に振舞ってるけど内心かなりボロボロなんだよ。今ここで俺たちどっちかがいなくなったら……わかるだろ?」
『うん…気をつける。』
「ああ。頼むぜ。」
『あとさ、その後にあったことなんだけど………』
その後話した内容について、紫原はあまり理解できてない様子だった。でも、俺には、テっちゃんがどんな気持ちだったかが痛いくらいにわかった。
──そりゃ、恐いに決まってるよな……行って欲しくねぇって思うよな……
テっちゃんの様子を聞いて心配になった俺は、そのあとすぐに紫原との会話を終わらせてテっちゃんの携帯に電話した。
でも、テっちゃんは電話にでなかった。
何回かけても、どんだけ時間が経っても、テっちゃんが携帯にでることも、連絡が来ることもなかった。
「くそっ!どこにいんだよ…テっちゃん……」
そのあと、何回電話したんだろうか。日もすっかり暮れて、俺は何十回目かわからない電話をしていた。
プルルルル、プルルルル、プルル、ガチャ
──出た!!!
「もしもし!?テっちゃん!今どこよ!!??」
テっちゃんは虚ろな声で、今ある場所を呟いた。かなり遠いけど、自転車で死ぬほどトばせば十分以内につけるかもしれない。
「すぐ行くから!」
そう言って、急いでチャリに乗った。心配だから、通話はしたままで。
──急がないと、もしものことがあったら……!
そう思っていたら、電話の向こうからテっちゃんじゃない声が聞こえた。直感的に、やばいって思った。
『キミ、黒子クンだよねぇ?ちょっと一緒に来てくれないかなぁ?』
感じからして、一人じゃない。数人はいる。ダメだ。間に合わない──!
「行っちゃダメだ!逃げて!」
でも、テっちゃんから帰って来た一言は、あまりに絶望的な一言だった。
『これが…罰なんですよ……』
──罰なんて…テっちゃんが負う必要ないのに……!
そう思って何か言おうとするより前に、ブチッと音を立てて通話が切れた。何度テっちゃんの名前を呼んでも、携帯からは無機質な機械音しか流れて来なかった。
数分後、死ぬ気でたどり着いた場所には、少しの血痕と、テっちゃんの生徒手帳だけが残っていた。
ダメだ……
このまま行っちゃったら、
テっちゃんが闇に飲み込まれちゃう……
俺には、一人涙を流すことしかできなかった。
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