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決意
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次に目を覚ました時、僕はすでに病院のベッドに寝ていました。
ベッドの脇には、腕を組んでこっくりこっくりしている高尾君と、ベッドに顔をのせてぐっすりと寝ている紫原君。それを見た瞬間僕の頭に浮かんだのは、表現しきれないほどの感謝と、
それと──
──………っ
「……ん……ぁ、…テっちゃん!」
「ん〜っ……黒ちん、起きたの〜?」
ハッとすると、完全に覚醒した高尾君が手を握り、まだ少し寝ぼけている紫原君が抱きついていました。
「なんですぐに家に帰らなかったの!?危ないって言ったじゃん!」
──あなたはオカンですか、高尾君……
「ふわぁ〜……高ちんさぁ〜、なんかお母さんみたい。」
「あ、僕もいまそれ思いました。奇遇ですね。」
思わずそう言ってから、高尾君の怒鳴り声が病室に響き渡ったのは言うまでもありませんでした。そして、それから数時間の間、僕と紫原君は延々とオカンのような説教を受け続けたのです。
「……ということ。わかった?テっちゃん。二度と一人でそんなに遠くに行かないで。心配で心臓が止まったらどうしてくれんのさ。紫原もさ、もうちょっと自制しろ。空気を読め。ほら、そこでお菓子食うな。ハァ……」
「高ちんさ〜、ストレス溜まってるんじゃない?お菓子食べる?」
「食べんわ!ってかストレスの原因100%がお前ら二人だよ!!」
「え〜」
「なにが「え〜」だよ!」
「なんか、二人とも仲良いですね。いつの間にそんな仲良くなったんですか?」
「「いや別に仲良くなんてなってないけど??」」
「あ、ソウデスカ……」
──息ぴったりですね……!というか、デジャヴ……
そんな、和やかな空気になっていると、今更思いついたように高尾君が言いました。
「そう言えばさ、俺がテっちゃん助けに行った時もう既にあいつら倒れてたけど、誰がやったの?」
途端に固まったのが自分でもわかりました。そう。断言は出来ないですが、おそらくあれをやったのは僕。でも、それを伝えても信じられないのが普通です。だって、僕でも信じきれていないのだから。顔をだんだんと下げながら、言うかどうか迷いました。
でも、あの気を失う直前。あの時見た血まみれの僕は、あの悲しく笑う僕は、僕でないようで確実に僕だったあれは、どうにも幻には見えませんでした。
「テっちゃん……?どしたの?」
「お〜い、黒ちん〜?」
ハッとして顔を上げると、心配そうな二人の顔が飛び込んできました。特に高尾君なんて、既におろおろとし始めていて、思わず笑ってしまうほどでした。
「大丈夫です。ただ、あまり確信できないことだったので……。」
「んん??どゆこと?」
確信できないという言葉に混乱する高尾君。信じてくれるかはわからない、けれど言っても悔いはしませんし、言いたい。その思いが、決意となって僕の背中を押しました。
「あの人たちを倒したのは、
おそらくですが、僕です。」
今、確実に一歩。
後戻りのできない分岐点を通った気がしました。
踏み出したこの足がどこへ行くかはわかりません。
ただ、確実に前へ。
進まないと、先など見えない。
僕はどうしても、まだ未来を見ていたい。
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