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会話2
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※ほとんど会話です。
《んで?なんでここ来たの?》
「………わからないです。病院で寝ていたらここにいました。ここは何ですか?」
《んー。説明しづらいなぁ。…簡単に言うと、お前の意識の他にもう一つある、〝俺の〟意識って感じだな。だから、俺の意識にお前が入ってきてるんだよ。》
「……そんなことできるんですか……」
《今までは俺が一方的にお前を認識してるだけで、お前の方は俺の存在すら知らなかったからな。でも、今回のことでお前が俺の存在に気づいて、興味を持ったから接触できたんじゃないか?》
「なるほど……」
《てかさぁ、折角だから言わせてもらうけどよ、無理しすぎなんだよ、いつもいつも。自分にばっか溜め込みやがって。》
「え?なんで……」
《俺とお前は一心同体みたいなもんだから、お前の考えてる事とか全部伝わってくんだよ。》
「……え!?!?」
──何ですかその迷惑なオプション!
《迷惑とか言ってる場合じゃねぇんだよ。お前は重症なんだから、読み取れるぐれーでもしねぇと誰にも分かんねぇよ。》
──読み取られてる!!
《だから言ったろ。》
「……じゃあアレですか…今まで僕が考えていたこととか、全部知ってたりするんですか?」
《おう。》
──死にたい………!!
《死にたいって…お前そんなすごいこと考えてたか?………あー、でも、お前一回黄瀬に対して変なこと考えてたことあったな。》
「うわあぁぁ……言わないでください……」
《そんなに酷いことだったか?(たしか……耳触りたいとか、くすぐりたいとか……十分変なことだな。)》
「だから言わないでくださいって言ったじゃないですか……」
《言ってねぇよ。考えただけだ。》
「じゃあ考えないでください……」
《無茶なこと言うな。》
「……もういいですよ。気にしてませんから。あれは一時の気の迷いだった、ただそれだけのことです。」
《自分に言い聞かせてるみてぇなだな。まぁいいけどよ。……で?俺に話があるんだろ?なんだ?》
「あぁ、そうでした。……あの時、僕と変わって男の人たちを倒してくれたのはあなたですか?」
《そうだ。》
「やはりそうですか……でも、僕の体でよくあの人たちを倒せましたね。」
《ああ。俺はお前のもう一つの人格だから、俺があの時使った体は確かにお前のもんだ。だけど、俺とお前は性格とか意識とかそういうもんが違うから、ケンカが上手いとか下手とかにも関係してんじゃねぇか?それに、俺はお前の核の部分に近い存在だから、お前が持ってる潜在能力とかを全部使えるんだよ。》
「え?そうなんですか?」
《ああ。分かりやすく言えば、俺は火事場の馬鹿力をいつでも使えるってことだ。普段、無意識に脳がリミッターをかけてる分の力を、俺は解放することができんだよ。そのぶん身体に負担はかかるが、俺が表に出てられんのは短時間だからな。そんなに危険もない。》
「なるほど…僕がそのリミッターを解放することはできないんですか?」
《よっぽどのことがない限り無理だな。脳がダメージを受けるとか、そういうことがない限り。》
「そうですか……」
《……あぁそうだ。ついでに言うが、どっちが表に出てる状態でも、やろうと思えば意思の疎通ができるはずだ。そうすれば、お前が表に出てるときに俺が話しかけることも、その逆もできる。》
「それは便利ですね。後で試してみましょう。」
《だな。あと、……高尾と紫原だっけ?にも、今度直々にあって挨拶しとかねぇとな。お前の唯一の味方なんだろ?》
「はい。優しい人たちです。」
《そうか。よかったな。…………お、そろそろ時間みてぇだな。》
彼がそう言うと、あたりの暗闇がだんだんと僕の体を覆うようにのぼってきました。しかし不思議と恐怖はなく、ああ、目が覚めるのかと思っただけでした。
「あの、いろいろとありがとうございます。助けてくれたり、説明してくれたり……」
《当たり前だろ?お前は俺で、俺はお前なんだから。いつだって助ける。だから安心しとけ。お前の笑顔は、俺が守るって決めてんだ。》
「ありがとうございます……そういえば、僕はあなたのことなんて呼べはいいんでしょうか?」
《そういやそうだな……適当に、俺がクロ(〝黒〟子テツヤの〝黒〟)、お前がテツ(黒子〝テツ〟ヤの〝テツ〟)とかでいいんじゃね?》
「そうですね。じゃあ、クロさん。ありがとうございました。」
《ハハッ。さっきからありがとうって言ってばっかだな。……じゃあな、テツ。》
無邪気に笑ったその顔に、ほんの少し青峰君を思い出してハッとした瞬間、暗闇が僕を完全に覆い、僕は意識を失いました。
僕が別れて悲しかったのは、黄瀬君だけではありません。
青峰君や赤司君、緑間君……
僕が失ってしまったものは、
僕が失いたくないと思っていたものばかりでした。
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